ICT技術解説[第2回]ビデオチャットを劇的に身近にするブラウザ技術「WebRTC」を徹底解説

ビデオチャット、ボイスチャットなどのリアルタイムコミュニケーションをプラグインなしにWebブラウザだけで実現する技術が「WebRTC」だ。ネットを介したリアルタイムコミュニケーションの可能性をさらに広げるWebRTCを今回は解説する。

(1)WebRTCとは?

今回取り上げるWebRTCは、Webブラウザに関する技術の1つで、技術者だけでなく一般のインターネットユーザーにも大きな影響を及ぼす存在として今、高い関心を集めている。

WebRTCはWeb Real-Time Communicationsの略で、Webブラウザにプラグインを追加することなく、Webブラウザ上でリアルタイムコミュニケーションを可能にするオープンフレームワークである。WebRTCは2011年にGoogleによって提唱され、WebRTCのAPIレベルでの標準化はW3Cで、プロトコルレベルでの標準化はIETFでそれぞれ進められている。

WebRTCプロジェクトにはGoogleだけでなく、Mozilla、Operaも参加しており、現在はChrome、Firefox、Operaの各ブラウザにこの技術が実装されている(図表1参照)。

図表1 WebRTC対応ブラウザ
OS環境 対応ブラウザ
Windows / Mac Chrome 26以降
Firefox 22以降
Opera 15以降
Android Chrome 29以降
iOS 開発中

WebRTCは図表2に示す通信形態をサポートしながらWebブラウザだけで次の機能を実現できる。

▼端末上のカメラやマイクからのストリームデータの取り込み
▼ストリームデータのP2P通信
▼テキストデータやバイナリデータのP2P通信

つまり、WebRTCにはインタラクティブなリアルタイムコミュニケーション機能を持つアプリケーションを開発するためのビルディングブロック(コンポーネント)が含まれており、JavaScript APIを介してアクセスすることができる。また、P2P通信を利用した端末間の相互接続も可能で、P2Pによるビデオチャットやファイル共有をWebブラウザだけで実現できる。

図表2 WebRTCの通信形態

片方向通信 双方向通信
1 → 1
1 対 1
1 → n
n 対 n

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