「Dropboxはもちろん素晴らしいが、エンタープライズが機密性の高い文書をコンシューマ向けの製品に預けるのは危険である。我々がやっているのは、Dropboxのいいとこどり。Dropboxのように簡単にファイルにアクセスできるという特徴と一緒に、セキュリティと管理性も提供する。しかも、オンプレミスで運用できる」
エンタープライズ向けバックアップソリューションなどを提供するアクロニス・ジャパンは2013年11月21日に記者会見を開催。アクロニス プロダクト・マネジメント・ダイレクタのマルセロ・アンドリオ氏は、同社の2つの製品「mobileEcho」と「activEcho」を“エンタープライズ版Dropbox”と紹介した。この日の会見では、両製品の最新版である「mobilEcho 5.0」と「activEcho 3.0」が発表されている。
mobilEchoとactivEchoの概要。「企業のファイルサーバー、NAS、SharePointへのアクセス」がmobilEcho、「社内、社外の組織とのファイル共有、コラボレーション」と「ラップトップ、デスクトップ、スマートフォン、タブレット間のファイルアクセス、ファイル同期」がactivEchoの役割 |
顧客の9割はオンプレミス環境に導入
まず両製品それぞれの概要から紹介すると、mobilEchoは、iOSとAndroid対応のモバイルデバイスから社内のファイルを利用するためのソリューションである。mobilEchoがゲートウェイの役割を果たし、社外のモバイルデバイスから社内にある既存のファイルサーバーやNAS、SharePoint上にセキュアにアクセスできるようにする。
「社内のPCからいつも行っている作業を、モバイルデバイスからも限りなく同じようにできる。他社の製品はプレビューの機能しか持っていないものが多いが、mobilEchoはフォルダの追加やファイルの移動なども行える」とアクロニス・ジャパン リージョナル・プロダクト・マネージャの古舘與章氏は説明したが、社内ファイルサーバーをモバイル環境でも利用可能にするのがmobilEchoとなる。
mobilEchoのクライアントアプリの画面 |
一方のactivEchoはモバイルデバイスに加えてWindowsやMacにも対応するが、こちらは“社内ファイルサーバー”という位置づけではない。いつでもどこでも自分のファイルにアクセスしたり、チームメンバーとのコラボレーションなどを行うためのファイル共有/同期プラットフォームという位置づけの製品だ。社外の人をメールで“招待”してファイル共有を行うこともできる。
アンドリオ氏が重要な特徴と挙げたのは、「誰が誰と共有できるのかを管理者が制御できる」ことだ。具体的には、ファイル共有できるユーザーのメールアドレスを自社のドメインだけに限定したり、Gmailなどフリーのメールアドレスは共有禁止にしたりといった制御が行える。
activEchoのログイン画面。招待メールに記載されたURLをクリックすると、写真のログイン画面が表示される |
「まずハイライトしたい」とアンドリオ氏が今回の機能強化のポイントとして紹介したのは、「完全日本語対応」だ。アクロニスがmobilEchoとactivEchoを日本市場に投入したのは今年4月のことだが、両製品ともこの最新版ですべてが日本語化された。また、両製品の管理コンソールが統合され、一体的に運用できるようにもなった。
個々の新機能を見ていくと、mobilEcho 5.0のモバイルデバイス用ネイティブアプリは、新たにOfficeファイルの編集機能を内蔵。Office 365のSharePoint Onlineもサポートした。なお、mobilEchoのクライアントアプリからは、activEchoにもアクセスできる。
mobilEchoの新機能 |
activEcho 3.0は、ドロップ&ドロップによる操作が可能になるなど、ユーザーインターフェースを刷新。また、ファイル共有の期限を設定し、何日後に削除するといったことも行えるようになった。
activEchoの新機能 |
アンドリオ氏によれば、mobilEchoおよびactivEchoの主なユーザーは、金融、医療、政府・官公庁など、機密性の高い文書を扱う企業・団体。両製品はソフトウェアとして提供され、オンプレミスとAWSなどのパブリッククラウドの両方の環境に対応するが、顧客の9割はオンプレミスを選択しているという。
それぞれの参考価格は、mobilEchoが100ユーザーの場合で257万6000円、activEchoが50ユーザーの場合で103万円。ともに1年間の保守費が含まれ、2年目以降の保守費はライセンス定価の25%となっている。