――4月1日に4つの地域会社を設立し、営業エリアを全国へと拡大しました。2015年にはさらに500人増の従業員数2000人、売上500億円を目指すとのことですが、この狙いと成算を聞かせてください。
佐藤 KDDI まとめてオフィス(KMO)はこれまで東京・名古屋・大阪に拠点を置いて事業を行ってきましたが、関西・中部・東日本・西日本に地域会社を設けることで、全国をカバーできる体制を整えました。東名阪で培ったノウハウを横展開し、事業を拡大する好機を得たのです。
また、KDDIグループの法人向け事業における役割も変わります。これまでは従業員数100名以下の中小企業を対象としてきましたが、今回、KDDI本体で中堅企業を担当してき
た人員もKMOに集め、従業員500名以下の中堅中小企業を全国的にKMOが担当する体制に移行しました。これにより、4月1日から社員数約1500名でスタートしています。
2015年に売上500億円を目標としていますが、固定・モバイルだけに限らず、オフィス機器全般もカバーすることでお客様のニーズに合った商材を提供する機会を得ることができます。不景気といえどもモノを買わない企業はありません。そこに目を向けたのです。
――今回の事業拡大にいたるまでの御社の歩みを教えてください。
佐藤 当社は2011年2月にKDDI本体のサービス事業を分社化することで設立しました。これにより、KDDI本体が大企業や官公庁をカバーし、当社が中小企業を開拓するという役割分担がされることになりました。
KMOの事業の中心は、中小企業向け会員制プログラム「KDDI まとめてオフィス」の販売です。携帯電話やスマートフォン、固定回線だけでなく、通信・OA機器等の導入から管理業務の効率化、さらにそれらの費用を一括請求するサービスなどを提供してきました。
そのなかで、顧客企業の要望にはできる限り応えるという理念に基づき、サプライ品、オフィス什器、空調設備などIT周辺機器以外のものも商材に加えました。こうした柔軟な対応力こそ、当社が分社化することで得たオリジナリティです。
――これまでの手応えはいかがですか。
佐藤 約2年の間に売上高が6倍に増えました。また、この間、KDDIのサービスおよびKMOが提供するソリューションを両方利用している顧客の数が4倍に増えています。3月にはスマートフォンの販売台数が過去最高を記録するなど、順調に推移しています。
――好調の要因は何ですか。
佐藤 営業の手法が奏功していることだと確信しています。
KMO設立前の中小企業に対する営業はテレマやDMなど非対面によるものがメインでした。当社は営業体制として地域ごとに担当者を割り振る「エリア制」を敷き、直接お客様企業に赴くようにしています。足しげく担当営業が顔を突き合わせてご要件を伺うこと、これが当社の営業スタイルであり、お客様の信頼を勝ち得る最良の方法と捉えています。
これは今後も変わらない当社の営業手法です。相対して初めて分かるニーズが確実にあります。これらは電話やメール越しには見えません。