SPECIAL TOPIC5G RedCapで進化するスマート工場・倉庫 AMRと設備を一体制御へ

産業現場の人手不足対策として、自動搬送ロボット(AMR)の導入が広がっている。その通信基盤としてローカル5Gへの期待は高いが、端末側の対応状況やコストといった課題も残る。そこで工場・倉庫のスマート化を手掛けるIndustry Alphaは、東京都の「次世代通信技術活用型スタートアップ支援事業」に令和5年度に開発プロモーターとして採択されたキャンパスクリエイトからの支援を受け、5G RedCapによるAMR制御の実証実験を実施した。通信面の課題を解消することで、“すべての機器がつながる”スマート工場・倉庫の実現に向けた道筋が見え始めている。

人手不足が深刻化するなか、工場・倉庫といった産業現場では省力化・自動化に向けた取り組みが盛んに行われている。

自動搬送ロボット(Autonomous Mobile Robot、以下AMR)はその代表例だが、複数ロボットや設備を統合的に制御する段階に入ると、通信環境の重要性が一層高まる。

工場・倉庫のスマート化を手掛けるスタートアップ・Industry Alphaは、AMRの自社開発に加えて、複数ベンダーのAMR/AGV(無人搬送車)の統合制御システムであるFMS(Fleet Management System)を提供している。搬送ロボットを群制御できるほか、エレベーターやフォークリフトなどの搬送機やPLC機器・場内カメラなどの周辺機器、さらにはWMS(倉庫管理システム)やERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)などとの上位システムとも連携可能で、搬送とデータ活用を一体で設計できることが特徴だ。

FMSの機能概要

このFMSの性能を十分に引き出すためには、安定した通信基盤が不可欠だ。FMSの制御に基づきAMRが移動する場合、無線通信を利用することになるが、公衆LTE回線やWi-Fi、LPWAにはそれぞれ制約がある。特にWi-Fiは、アクセスポイント間のハンドオーバー時に瞬断が生じることがあるほか、利用周波数帯を問わず周辺環境の影響を受けやすいという特性がある。とりわけ2.4GHz帯では、工場・倉庫内で同周波数帯を利用する機器が多数存在するため混信が発生しやすく、搬送ロボットの停止や動作の不安定化の原因となる。

Industry Alpha 代表取締役の渡辺琢実氏は、「AMRに限らず、工場・倉庫の無線を利用したインフラが停止する主な原因は、通信環境にあります」と指摘する。とりわけIndustry Alphaが提供するAMR「Kagero」は、経路情報などを0.1秒単位で送信している。そのため、わずかな遅延であっても通路の交差点における停止・渋滞や、搬送対象の荷物の誤検知を招く恐れがある。

スマート工場・倉庫の実現には、安定した通信インフラを設計することが不可欠

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