2006年に2市8町が合併して誕生した熊本県天草市は、周囲を囲む美しい海や温暖な気候、そして南蛮文化やキリシタンの歴史といった観光資源が特徴だ。加えて、企業誘致が盛んという一面も持つ。令和4年以降の3年余りで、同市へ進出した企業は23を数える。
そんな天草市の最南端に位置する牛深地域は県下最大の漁港を擁し、雑節生産で日本一を誇るが、最大の悩みが人口減少だ。総務振興課の宮内祐貴氏は「ピーク時は3万を超えた人口が、1万人を切りそうな状況」と話す。そのため企業誘致を起点とした産業振興により、人口減少を食い止めることが最重要課題となっている。

天草市牛深支所 総務振興課 総務係長の宮内祐貴氏
特に力を入れるのが、IT企業の誘致である。熊本県というと、TSMCの工場建設がすぐに思い浮かぶが「天草市は土地が少なく製造業は難しい。IT企業の誘致を積極的に進め、地元企業とのマッチングで水産業のデジタル化も図っていきたい」と宮内氏は言う。
IT企業と地元人材のコラボ拠点
その中核拠点として2023年11月にオープンしたのが「MORIMON LAND 牛深」だ。同地に進出する企業がサテライトオフィスとして利用するほか、地元企業との交流やデジタル人材の育成にも供する目的で、旧市役所の空きフロアを活用して設立。同年に牛深町へ進出した日本デーコムサービス(本社:東京都、以下「DACOM」)が施設の整備と運営を担っている。

施設内にはシェアオフィス6室と会議室4室のほか、コワーキングスペースやラウンジ等も備える。利用者は進出企業に限らない。地元学生らが参加するeスポーツ大会などのイベントを開催。地域外から訪れる「保育園留学」の保護者も仕事に活用するなど幅広い層が利用している。
そうした活動を支えるネットワークインフラには、米Ubiquiti製品を採用した。同社製のルーター、LANスイッチ(3台)、Wi-Fiアクセスポイント(10台)で施設内ネットワークを構築。セキュリティカメラ(10台)、施設とシェアオフィスのスマートロック/入退室管理(7台)もUbiquiti製品で統一した。DACOM 天草支店 支店長の今井勉氏は「単一のソフトウェアでネットワークもカメラも入退室も一元管理できる」ことが最大のメリットと語る。

防犯用と利用状況監視も兼ねるセキュリティカメラ(天井)も施設内各所に配置。
LANやスマートロックと同じ管理システムで映像を確認できる

Wi-Fi APは施設内の廊下や共用スペースに計10台設置。施設入口とシェアオフィスの入退室はスマートロック(左)で管理している
また、採用の決め手となったのが「ライセンスコストが不要」なことだ。法人向けネットワーク機器やカメラは一般的に、利用する期間中、ライセンス費用を払い続ける必要がある。「ルーター/スイッチ、Wi-Fi、カメラ、入退室管理それぞれにライセンス費がかかるとランニングコストが膨らむが、Ubiquitiなら一切不要。これは大きかった」(今井氏)











