モバイル端末やクラウドの普及によって、企業のICT利用形態は大きく変わりつつある。ノートPCやスマートデバイスで社外から業務システムを利用する、あるいはオンプレミス型の業務システムからクラウドサービスへと移行するといった例は今や珍しくない。
こうした変化は、業務遂行におけるネットワークの依存度を高める。拠点間ネットワークやインターネットへの接続が止まれば、その影響は甚大だ。
“止まらないネットワーク”を求める声に応える技術として注目されるものの1つに「マルチホーミング」がある。
企業内のネットワークからインターネット等の外部ネットワークに接続する場合に、複数のISPを使って接続するものだ。回線の冗長化による耐障害性の向上、アクセス回線の負荷分散といった効果がある。これを普及させることでビジネスを伸ばそうとしているのが、香港に本社を置くセルテクノロジーだ。
「一般的な企業にとってマルチホーミングはこれまで『使いたくても手がでない』ソリューションだった。その裾野を広げたい」と、日本オフィスの稲田嘉伸氏は話す。
「古くて新しい」技術
マルチホーミングの機能そのものは単純なものと言え、通信キャリアやISPでは馴染み深い技術である。
だが、従来は、キャリア/ISPの自律システム(Autonomous System:AS)間で経路情報を交換するためのプロトコルであるBGP(Border Gateway Protocol)を扱う専用装置が必要で、かつ運用も複雑なため、企業が導入するには敷居が高かった。
数年前から、BGPや専用装置を使わずにマルチホーミングを実現するアプライアンス製品も登場しているが、本格的に普及するには至っていない。セルテクノロジーの顧客も、NTT東西/ドコモ/コミュニケーションズ、KDDI、ソフトバンクテレコム等の通信キャリアやISP、官公庁、大手企業が大半を占めている。
こなれた技術なのに、企業ユーザーには馴染みが薄い――。そうしたマルチホーミングの裾野を広げようとセルテクノロジーが展開している製品が「Cell Janus」だ。WANロードバランシング(=マルチホーミング)機能や、回線の障害時に接続先を自動的に切り替えるWANバックアップ機能等を備えたアプライアンス製品で、低価格化により「競合製品に比べて最大で8分の1、平均で3分の1はコストが抑えられる」という。
マルチホーミング(WANロードバランシング)、自動WANバックアップ、複数DCでのリスク分散を行う広域負荷分散などの多彩な機能を備えるCall Janus。ポート構成の異なる6モデルが用意されている |
このコストパフォーマンスを武器として、セルテクノロジーではマルチホーミングの具体的な利用シーンを提案することで、市場を開拓しようとしている。