Bluetoothといえば、携帯電話/スマートフォンやPC、ヘッドフォン、ワイヤレススピーカー、ゲーム機、医療機器など様々な機器に広く採用されている。Bluetooth SIGのチーフマーケティングオフィサーであるスーク・ジャワンダ氏によれば、「2012年の1年間だけでも、20億以上のBluetoothを搭載したプロダクトが出荷されるとのデータがある」という。
Bluetooth SIG チーフマーケティングオフィサー スーク・ジャワンダ氏 |
すでに大きな成功を収めているといえるBluetoothだが、活躍の場は今後さらに大きく広がるとジャワンダ氏は強調した。それは、「革命的な技術だと確信している」というBluetooth v4.0が登場しているからだ。
昨年夏から対応製品の出荷が始まったBluetooth v4.0の最大の特徴はローエナジー技術である。ボタン型電池で1~2年駆動できるようになったことから、これまでバッテリーの問題がネックとなっていた用途やデバイスでの採用が進んでいる。
ポケットの中にバーチャルなコーチが
ジャワンダ氏がまず取り出したのは、Bluetooth搭載の歯ブラシだ。この歯ブラシは、どのくらいの時間/頻度/圧力で歯を磨いたかといったデータをタブレット端末などに送信することができ、例えば「子供がちゃんと歯を磨いているのか、親は全部把握することができる」という。
最近発売されたというBluetooth搭載歯ブラシ |
また今後のユースケースの1つとして、Bluetooth搭載のゴルフクラブも紹介された。シャフト部分にBluetoothのチップが埋め込まれており、スイングスピードやミートした箇所などの測定データがスマートフォンに送信される。利用者は、スマートフォンのアプリ上で自分のスイングについて確認することができ、「ポケットの中にバーチャルなコーチがいるようなものだ」とジャワンダ氏は話した。
Bluetooth搭載ゴルフクラブのイメージ写真 |
さらに、すでに1500万台のBluetooth対応デバイスが出荷されているという医療・ヘルスケア分野においても「今後3年間で2億台に増加するといわれている」とのこと。
測定器からBluetoothを介してクラウド上に蓄積された血糖値などのデータを主治医がチェックすることで適切な医療処置を施すことを可能にしたり、Bluetooth搭載フィットネスウェアで取得したデータを基に最適なトレーニングメニューを提案するなどの利用法が考えられるという。
フィットネスでのBluetoothの利用イメージ。心拍数やどれくらいストレッチができているかなどをセンシングしてBluetoothでテレビに送信。さらには、センシングしたデータからメニューが合っているかをアプリが判断し、もっと難易度の高いフィットネスビデオを表示するといったことも想定しているという |
近距離無線技術として知られるBluetoothだが、こんなアイデアも披露された。「パワフルなアンテナを用いることで、Bluetoothがカバーできる距離は1kmに広がる。駐車場のパーキングメーターをBluetooth対応にすることで、スマートフォンを使って、どの駐車場に空きがあるかを調べ、さらに予約することも可能になる」という。
駐車場のBluetooth化のイメージ写真 |
なお、Bluetooth v4.0については1つ注意したいことがある。それはv4.0の登場に伴い、Bluetooth対応デバイスの相互接続性は3タイプに分かれたことだ。
ローエナジー技術のみに対応した「Bluetooth Smart」、従来のBluetoothのみに対応した「Bluetooth」、両方に対応しハブの役割を果たす「Bluetooth Smart Ready」の3つのロゴが用意され、それぞれの製品に貼られている。
世界初のBluetooth Smart Ready対応デバイスはアップルのMacBook AirやiPhone 4Sなどであったが、今回の会見ではWindows 8がBluetooth v4.0をネイティブサポートし、Bluetooth Smart Ready製品として機能することも発表された。
また、グーグルも最近、Bluetooth SIGのボードメンバーに加わったとのことで、「AndroidのBluetooth対応をさらに推し進めてくれるものと期待している」という。