公衆無線LAN(Wi-Fi)の認証基盤「Cityroam」の普及活動を行う無線認証連携協会が2025年6月19日、定時会員総会を開いた。
Cityroamは国際的な業界団体・Wireless Broadband Alliance(WBA)が推進する無線LANローミング基盤「OpenRoaming」の“日本版”として位置づけられる。
OpenRoamingに準拠した基盤では、プロファイルを一度端末にダウンロードし設定しておけば、対応する世界中の公衆Wi-Fiに自動で接続できる。国境をまたいでシームレスに接続できるだけでなく、基地局のなりすましを防ぐ仕組みや、通信内容の暗号化、利用者の認証管理を通じて、安全に利用できることも大きな特徴だ(参考記事:進化するフリーWi-Fi “使えて当然”を超えるインフラへ|BUSINESS NETWORK)。
同協会は2024年4月設立。Cityroamはそれまで大学等のプロジェクトベースで運営されてきたが、設立後は同協会のサービスとなり、サービスエリアの拡充や技術開発などの展開をより加速させている。2025年6月現在、20事業者と4大学が協会に参加している。
「公衆Wi-Fiの仕組みは業界団体で支えるべき」アイ・オー・データ細野氏
総会で行われた特別講演にアイ・オー・データ機器 会長兼社長の細野昭雄氏が登壇し、細野氏は「無線通信はインフラであり、特定の企業だけが突出するのではなく、業界全体で支えるべきものだ」と強調した。細野氏は、同社が2000年代に関与した公衆Wi-Fiの黎明期の実証事業に触れつつ、通信業界全体が共有基盤としてWi-Fiの仕組みを育ててきた歴史を振り返った。
アイ・オー・データ機器 会長兼社長の細野昭雄氏
細野氏はCityroam/OpenRoamingの「応援団」を自認する。「Cityroamの拠点が増えたのは参加企業の努力の結果。協会にはそれぞれの共通の悩みを持ち寄って、より良い体験につなげてほしい」と呼びかけた。