丸文は昨年7月、ローカル5Gソリューションを提供する米Ataya社と代理店契約を締結。ローカル5G向け5GC(5G Core Network)「Harmony」と、オールインワン型のローカル5Gソリューション「Chorus」という2種類のAtaya社製品を国内展開している。
Harmonyは、ローカル5G以外の無線システムも統合管理できる点が特徴だ。管理画面上からWi-Fiアクセスポイント(AP)や有線LAN製品等を一覧表示し、一貫したポリシー制御が行える。複数の通信経路を同時利用できるマルチパスTCPにも対応し、ローカル5GとWi-Fiを組み合わせて使用できるため、ネットワークの冗長化やスループット向上が期待できる。
Chorusは、小型5G基地局の「Chorus AP」とクラウド型管理プラットフォームで構成された、「Wi-Fiのような手軽さ」が売りのソリューションだ。事前にクラウドで設定しておいたChorus APを現場に持ち込み、LANケーブルをつないで電源を入れると、数分でローカル5Gネットワークを構築できる。
こうしたAtaya社の製品群は、海外でも好評を得ている。台湾や米国の放送局は、山間部のイベント会場や被災地等にHarmonyを活用してローカル5G/プライベート5Gを構築。制作現場等へ高精細なライブ映像を伝送するといった用途で活躍している。
山間部は光ファイバーが未整備であるケースも多いことから、バックホール回線にはOneWeb/SESを活用。「ローカル5Gと衛星通信の連携により、“地理的制約”を乗り越えた事例です」と丸文 イーリスカンパニー 情報通信課 シニアアソシエイトの藤井遥紀氏は話す。
(左から)丸文 アントレプレナ事業本部 イーリスカンパニー 情報通信課
シニアアソシエイト 藤井遥紀氏、同課 小川竜平氏
台湾の建設事業者は、Harmonyを用いたローカル5Gシステムを用い、広大な鉱山におけるダンプトラックの自動運転や、危険区域での重機の遠隔制御を実現している。韓国では、作業員同士の音声・映像データのやり取りや、監視カメラの映像伝送などにHarmonyを使っているそうだ。
Chorusは屋内用と屋外用の2つのモデルを取り揃えるが、屋外用モデルは防水・防塵性能や塩害への耐性を備えていることから、海上での利用が増えているとのことだ。例えば、台湾のインフラ事業者は、洋上風力発電施設にChorusを設置して、風車ブレード等を撮影するドローンを遠隔制御。撮影した映像は本部へ伝送し、損傷や劣化をいち早く検知するといった具合だ。