2023年に米Lumen TechnologiesのEMEA(欧州・中東・アフリカ)事業を買収したColtテクノロジーサービス。アジア太平洋地域社長の水谷安孝氏によれば、同社のグローバルネットワークは着実に広がり続けており、接続国数は40、顧客数は2万以上。世界で1100を超えるデータセンターと3万2000超のビルに接続しているという。
上記のEMEA事業買収によって欧州で最大規模の光ファイバーネットワークを保有するに至ったColtは現在、日本を含むAPACへの投資を拡充している。昨年、東南アジア6各国での事業拡大と、西日本における自社ネットワークの拡張、さらにシドニー都市部でのネットワーク拡張を発表(参考記事)。インフラストラクチャ及び接続性ソリューション担当バイス・プレジデントのピーター・コペン氏は、「日本企業が欧州で活動する際にも、欧州の企業がAPACでビジネスを展開する場合も、どちらもお手伝いができる」と、グローバルキャリアとしての実力に自信を見せた。
Coltテクノロジーサービス アジア太平洋地域社長の水谷安孝氏(左)と、
インフラストラクチャ及び接続性ソリューション担当バイス・プレジデントのピーター・コペン氏
SASEや自動化含む「デジタルインフラ」を提供
そのColtは、どのような事業戦略を進めていくのか。水谷氏は顧客を2つに大別し、それぞれのニーズに応じた通信サービス/ソリューションを提供していくと話した。
Coltの顧客企業を2つに大別
上図表の左側(青)は「ネットワークのプロ」であり、光ファイバー網や通信サービスをビジネスを推進するためのインフラ/コンポーネントとして使う。「ファイバーのルートや管理方法、接続するデータセンターの位置まで非常に細かな情報を欲しており、世界中にネットワークのスペシャリストも保有している」(同氏)。そのニーズに応え得る品質のサービスやコンポーネントを提供するため、運用自動化などの最新技術を活用する。
一方、右側(緑)は「ネットワークは必要最低限のものとして捉えていて、安定した通信サービスを安価に使いたい」と考える顧客群だ。こちらの最大のニーズはアウトソーシング。コロケーションやセキュリティなどネットワーク以外の機能/サービスも含めたパッケージ提供を求める顧客も多く、そうしたソリューション提案にも力を入れる。
Coltが目指す「次世代テレコム」のビジョン
こうしたなか、Coltはグローバル企業が抱える課題を解決する「次世代テレコム」としてさらなる成長を目指すという。複雑化するネットワークの構築・運用負荷を軽減するための自動化技術や、セキュリティ向上に貢献するSASEを活用。AIやクラウドサービスとの連携も強化しながら「国境を超えたネットワークを理解し、構築・運用する『デジタルインフラ』のスペシャリスト」としての提案力を武器にしていくと方針を述べた。