楽天シンフォニーは2024年12月20日、船舶向けのサイバーセキュリティソリューション「Rakuten Maritime」の提供を、グローバルで本格的に開始すると発表した。
自律運航船など船舶が高性能化するなか、船舶を標的としたサイバー攻撃が増加しており、設計、試運転、運用というライフサイクルの各段階に合わせたセキュリティ対策が必要となる。
そこで同ソリューションは、特定・保護・検出・対応・復旧を5つの柱とするサイバーセキュリティフレームワークにより、船舶ライフサイクルを通じたセキュリティ対策を可能にしたという。また、IoT、クラウド、モバイルネットワーク、ゼロトラストサイバーセキュリティ技術を統合し、設計から運用までのエンドツーエンドのソリューションを船舶に提供するとしている。
「Rakuten Maritime」はIoT・クラウド・モバイルネットワーク・ゼロトラストサイバーセキュリティ技術を統合したエンドツーエンドソリューションを提供
具体的な機能は4つ。センサーデータの収集・分析・活用による運用効率の向上など、船上に設置するIoTデバイスを効果的に管理・統合する「IoT統合」、船陸間の安全なデータ伝送と保管を行い、クラウドプラットフォームを通じてリアルタイムのデータアクセスとコラボレーションを実現する「クラウドベースのデータ管理」、海事業界におけるサイバーリスクをリアルタイムで検知して防止し、ランサムウェアやフィッシング攻撃に関する情報を提供するプロアクティブな防御システムを提供する「サイバーセキュリティ対策」、船舶の操縦とセキュリティ管理に必要な時間・コスト・人的資源を削減し、レジリエンスを最大化する「運用効率の最適化」。
発表によると、同ソリューションを利用することで、従来の船舶システムと比較してサイバーリスクを特定・解析する件数を400%改善し、これまで見過ごされてきたリスクの特定・解析も可能となるほか、セキュリティ設計に必要なリソースを83%削減し、船舶建造期間の短縮、コストの削減、セキュリティの強化を実現できるという。
なお、同ソリューションは船舶の安全や海洋環境の保護を目的とする国際船級協会連合(IACS)が定めた「船舶のサイバーレジリエンスに関する統一規則(UR E26 / E27)」に準拠。船舶を専門とする韓国のサイバーセキュリティスタートアップ企業CYTUR Inc.と楽天シンフォニーの提携により提供される。