ソフトバンクがAI-RANを製品化し世界展開 基地局とAIの融合で新収益創出へ

ソフトバンクが、RAN(無線アクセスネットワーク)とAIの両方を、エヌビディアのプラットフォーム上で運用できるAI-RAN統合ソリューション「AITRAS(アイトラス)」の開発を開始した。基地局制御装置(CU/DU)用に整備したサーバー設備を生成AIなどでも活用できるようにし、新たな収益源を創出する。ソフトバンクは自社の通信網をAITRASにより再構築、海外の通信事業者などへのAITRASの販売にも乗り出す。

校舎の屋上に設置された試験設備の5G基地局アンテナ

校舎の屋上に設置された試験設備の5G基地局アンテナ

ソフトバンクは2024年11月12日、AI-RANの商用展開に向けて慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(以下SFC)に構築した試験ネットワーク設備を報道関係者に公開した。

ソフトバンクは、RAN(無線アクセスネットワーク)上でAIを活用することで設備利用効率の向上や新たな収益機会の創出を図るAI-RANの実用化に向けて今年2月、エヌビディアやエリクソン、ノキア、サムスン、T-モバイルなどと推進組織「AI-RANアライアンス」を立ち上げている。

「当社がAI-RANをやると宣言した時には、本当にできるのかと思われた方もいたかもしれない。しかし、すでに実装して稼働している。それをぜひ体験していただきたい」

記者発表会で挨拶したソフトバンクの宮川潤一社長兼CEOはAI-RANの実用化の進展を強くアピールした。

ソフトバンクが実用化を進めているAI-RANは、基地局制御装置(CU/DU)を仮想化し、GPUと省電力性に優れるArm CPUを搭載したエヌビディアの高性能サーバー(GH200)上に実装、AI制御による高効率・高品質なネットワークを実現するとともに、このサーバーで様々なAIアプリケーションを展開できるようにするものだ。

ソフトバンクではAI-RANの開発を現在、エヌビディア、レッドハット、富士通と共同で進めている。

CU/DUのRAN L1ソフトウェアは、エヌビディアが提供する業界別のアプリケーションライブラリー、NVIDIA AI Aerialをベースにソフトバンクが自社のサービスでの利用に耐え得るものを開発した。

AIサーバーにはエヌビディアのNVIDIA AI Enterprise、仮想化基盤にはRed HatのOpenShiftが採用されている。SFCの試験環境の5G無線機とL2/L3のソフトウェアの提供は富士通が担っている。

ソフトバンクは、このAI-RANのソフトウェアパッケージをAITRAS(アイトラス)の名称で製品化、自らのネットワークに導入すると同時に、海外の通信事業者などに販売していく計画だ。SFCの試験環境の構築に用いられたAI-RAN装置はAITRASのプロトタイプといえる。

AITRASのシステム構成

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