(左から)Infoblox カントリーマネージャー 河村浩明氏、アジア太平洋/日本担当バイスプレジデント ポール・ウィルコックス氏、CMO(最高マーケティング責任者) ブラッド・リンクリン氏
「今、振り返れば、我々にしてもお客様が導入するソリューションをまた1つ追加し、事態をさらに複雑化する要因を提供していた」
こう反省の弁を述べるのは、DDIソリューションのリーディングカンパニー、InfobloxでCMO(最高マーケティング責任者)を務めるブラッド・リンクリン氏だ。
マルチクラウド化の進展は、IT管理者に多くの悩みももたらしている。DNS、DHCP、IPAM(IPアドレス管理)のいわゆるDDIの領域でも同様だ。
「例えば本社でInfobloxのDNSを使っているお客様がいたとして支店ではInfobloxではなく、マイクロソフトのDNSを使っている。また、そのお客様は、AWSとGoogle Cloudの2つのクラウドを利用しており、AWSではAmazon Route 53、Google Cloudでもその独自のDNSサービスを使っている。こうした場合、4つのシステムが同時に存在し、それぞれサイロ化したバラバラの状況で、IPアドレスとドメイン名の名前解決を行っているわけだ」(リンクリン氏)
Infoblox自身も2020年にSaaS型のDDI管理プラットフォーム「BloxOne DDI」を従来製品と別ラインでリリースしており、さらにBIND、Azureなど他のクラウド、CDNのDNSだったり、1社で7種類以上のDDIソリューションを使っている企業も珍しくないだろう。「例えるならば、7つの口座を別々の銀行に作って、お金の出し入れなどをしているようなものだ」(リンクリン氏)
当然、管理は複雑になり、可視性が損なわれ、人為的ミスも起こりやすくなる。
マルチクラウド化はDDIの領域でも多くの悩みを引き起こす
リンクリン氏によると、稼働しているものの、ほとんど使われておらず、サーバースペースや電力などを無駄に消費している“ゾンビサーバー”による損失はグローバルで30億ドルにも上るというデータがあるそうだ。
また、同氏はこんな事例も紹介する。
「ネットワークチームとクラウドチームの連携がうまくいかず、IPアドレスの重複割当、DNSの設定ミスなどにより、企業ネットワーク全体がダウンする状況も起こり得る。実際、ニューヨークに本社のある銀行で、そうした事態が起こり、ネットワークが3時間停止した。その間、取引ができなかったことなどにより、2000万ドルの損失を被った」
さらに、可視化が不十分であれば、セキュリティリスクも増大する。「目に見えないものは守れない」(リンクリン氏)