「信頼ある生成AI」が生む付加価値は21兆円、三菱総研が3つの推進策を提言

三菱総合研究所(MRI)は2024年8月28日、生成AIにおける信頼性確保のニーズや効果を分析し、約21兆円の付加価値が創出できることが明らかになったと発表した。合わせて、信頼性の確保を通じた利活用の推進策について、「応用産業で稼ぐ」「国産の省エネ・高信頼AIを育てる」「適切な生成AI利用を促す環境を整備」の3つの取り組みを提言している。

MRIでは独自の付加価値試算モデルを構築し、生成AIの信頼性を確保することによる付加価値(生産性の向上効果に相当)を推計した。その結果、利用環境の整備に加えて信頼性の確保を進めることで、5つの産業で約21兆円の付加価値が得られることがわかったという。

生成AIの活用による5産業全体の付加価値創出

生成AIの活用による5産業全体の付加価値創出

特に注目すべき点として、信頼性の構成要素である「正確性」を担保することで、約6兆円の増分効果が期待できる。また、正確性を高めることで、生成AIの活用レベルを「壁打ち相手や下作業に使う」レベルから「業務を生成AIに任せて人間は監督だけする」レベルへ引き上げられる可能性が高いことも判明した。

MRIは、この約21兆円の付加価値を実際に享受するためには、技術開発などを通じて生成AIの信頼性を高めるだけでなく、その信頼性を可視化し評価する仕組みが必要と指摘。生成AIの提供者自身による第一者評価だけでなく、利用企業による第二者評価、認証機関等による第三者評価や認証の仕組みを整えることが求められるとした。

実効性を高めるためには、認証取得等への対応が規模の小さな企業にとって過度な負担とならないように配慮することが重要とし、さらに、本提言で検討した信頼性確保の対応や「【提言】生成AIの普及が与える日本の電力需要への影響」で検討した電力制約への対応を日本の産業競争力につなげる、3つの取り組みを提言している。

提言1: 海外大型AIを活用しつつ応用産業で稼ぐ(「稼げる小作人」に)
提言2: 国産の省エネ・高信頼AIを育てる
提言3: 適切な生成AI利用を促す環境を整備する

上記の詳細は、MRIのWebサイトで公開されているレポート本文で確認できる。

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