ミークとファミマが目指すコンビニDX 小売業向けIoTソリューションの横展開も

IoT回線を提供するミークと、デジタル活用で先を行くファミマが手を組んだ。今や先端技術が矢継ぎ早に導入されるコンビニ店舗で、両者は何を成し遂げようとしているのか。

企業向けにIoT回線を提供するミークは2024年5月31日、コンビニ大手・ファミリーマートと資本業務提携を締結したと発表した。

ファミリーマートがミークに対して出資した形だが、ファミマはミークのIoTプラットフォーム「MEEQ」を活用してDXの推進を目論む。

ミークの事業の核は、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3キャリア回線を一括で提供できる点であり、3キャリアを混ぜた閉域網を構築できることが強みの1つだ(図表)。3キャリアの回線が使え、センサー向け、LTE通信向け、監視カメラ向けなど、用途に応じたプランを提供する。SIMの管理や発注を行うコンソール画面や、データベースやデータ処理も用意しており、導入企業はノーコードでIoTシステムを利用できる。

図表 「MEEQ SIM」サービス構成

図表 「MEEQ SIM」サービス構成

MEEQの提供が始まったのは2021年3月。当時はソニーネットワークコミュニケーションズスマートプラットフォームという社名でソニーグループの100%連結子会社だったが、2022年12月にミークに改称。ソニーグループと強い結びつきを保ちつつも、各業界の企業とアライアンスを組み、事業拡大に取り組んでいる。

ファミマが目指す「回線の一本化」

ファミマの店内に入って目に飛び込んでくるのが、レジ上の大型デジタルサイネージ「FamilyMartVision」だ。2020年に設置が始まり、今年3月には1万店舗に広がった。単に広告やエンターテインメントコンテンツを表示するだけでなく、サイネージにはAIカメラが搭載されており、来店客の視認分析も行える。

デジタル技術を活用したサービスの豊富さは、ファミマの特徴と言えるだろう。関東の店舗を中心に設置が進む「ファミロッカー」は、複数の宅配業者の荷物の受け取り・発送ができ、フリマアプリの商品発送にも対応する。

バックヤードでは、Telexistence社が開発したロボット「TX SCARA」が飲料陳列に活用されたり、小型モニターや商品陳列棚も持つ床清掃ロボットが今年2月に300店舗に導入されたりするなど、店舗はさながらロボティクス技術のショーケースだ。

多機能型床清掃ロボットの稼働イメージ(出典:ファミリーマートプレスリリース)

多機能型床清掃ロボットの稼働イメージ(出典:ファミリーマートプレスリリース)

このように通信を利用するサービスやシステムが増える一方で、「それぞれが使用する回線がバラバラなのが現状」と、ファミリーマート クリエイティブオフィス&8の川名将斗氏は話す。各店舗には発注業務に利用する、基幹回線と呼ばれる固定回線が整備されているが、新たに導入するサービスでこれが使えるとは限らないという。「通信の一本化、品質向上に取り組んでいきたいという課題感がある」(川名氏)

ファミマの国内店舗数は1万6271店(2024年2月末)。47都道府県に店舗網は広がり、イベントや災害時には臨時店舗を出店することもある。

このような店舗展開に「対応できるのはミークだけ」と、ミーク 執行役員CTOの小早川知昭氏は自信を見せる。全国の店舗すべてで利用できるカバレッジ、個人情報などセンシティブな情報を取り扱える安全性など、回線に求められる要件は多い。小早川氏は「店内には通信連携サービスがいっぱい。これらに通信回線を効率よく、負担なく提供したい」と続けた。

ミーク 執行役員 CTOの小早川知昭氏(左)、ファミリーマート クリエイティブオフィス&8の川名将斗氏

ミーク 執行役員 CTOの小早川知昭氏(左)、ファミリーマート クリエイティブオフィス&8の川名将斗氏

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