日鉄ソリューションズ(NSSOL)は2024年7月23日、発電所のスマート保安を実現するための通信インフラ基盤として、九州電力に、ローカル5GとWi-Fiをベストミックスした自営無線ネットワークを導入したと発表した。
利用環境に応じたネットワークのベストミックス導入のイメージ
発電所の運営には、需給バランスを見て電力を安定供給するための燃料の供給調整や発電設備の制御、それらを安定稼働させるための設備状態の監視、定常時・異常時における設備のメンテナンス作業、目視による所内の見回りといった保安作業が欠かせない。
電力各社では人手不足やカーボンニュートラル対応などを背景に、デジタル技術を活用してこれら保安作業の高度化を実現する「スマート保安」に向けた取り組みを活発化させている。
九州電力では、これらのスマート保安の実現に向けて通信インフラを整備。将来のユースケースや経済性、拡張性を踏まえ、手戻りのない最適な自営無線ネットワークの導入を進めているという。
NSSOLは、九州電力のニーズを実現するために以下のポイントでシステムを導入。電波利用環境とユースケースの特性に応じて、ローカル5GとWi-Fiをベストミックスしたネットワークを構築したという。
システム構成イメージ
発電所内に数十か所ある建屋間の通信にローカル5Gを適用することで、光ケーブルの工事費を大幅に削減。また、データセンターに設置したローカル5Gコアシステムを共通基盤として利用することで、今後、他の火力発電所や原子力発電所への拠点拡張に対しても統一的な運用が可能なシステムとして導入した。
全体システム構成図
拠点側のWi-Fiには、グローバル実績が豊富で防爆対応製品ラインアップも有する製品を採用。バックホールには低消費電力が可能なスイッチ製品である、Passive Optical LAN(PON)技術を採用した。
ローカル5G接続用の固定型端末を数十台導入し、発電所全域を漏れなくエリア化。設備側ネットワークからの攻撃、SIMのなりすまし等への対応として、ローカル5G専用のエンドポイント・セキュリティ製品を全端末に導入している。