KDDIは2023年11月24日、清水建設とともに同社が施工する都内の超高層ビルの建設現場において、衛星ブロードバンドStarlinkを用いた「携帯電話圏外の高層施工フロアにおける通信環境整備に関する実証」を実施したと発表した。
実証のイメージ
超高層ビルの建築現場における高層施工フロアは、地上からの携帯電話の電波が届きにくくなるため、光ファイバーなどの固定回線を敷設して、通信環境を個別に構築する必要がある。地上階から固定回線を敷設することから、建築が進むにつれて階層が上がるたびに、施工階とその下階をカバーできるよう都度ネットワークを再構築する必要があり、多大なコストと稼働がかかっていた。
本実証は、2023年8月から10月にかけて行われ、KDDIが提供する「Starlink Business」(参考記事:KDDI、「STARLINK BUSINESS」のプランを6つに拡充|BUSINESS NETWORK)を清水建設が施工する超高層ビル建設現場の最上層に位置するタワークレーン上部に設置。Starlinkの衛星通信を活用した通信環境の構築および、タワークレーンの旋回時や、豪雨・強風などの悪天候時の通信への影響や品質検証を行った。
実証の結果、Starlinkのアンテナをビルの最上層に位置するタワークレーンのガイサポートに設置することで、クレーン旋回の影響を受けることなく、通信環境の構築が可能であることを確認した。また、豪雨・強風などの悪天候時でも、業務での利用中に通信が途切れることなく、安定して高速通信ができることを確認したという。これにより、高層施工フロアからの映像伝送やオンライン会議などが従来よりも容易となり、業務効率化に寄与するとしている。
KDDIはStarlinkの利活用モデル拡大により、超高層ビル建設における建設DXを推進するという。