NECネッツエスアイは2011年2月18日、東京国際フォーラムにて「Customer’s Fair 2011」を開催した。ICTを活用してオフィスのスリム化、業務効率化を実現する同社のオフィストータルソリューション「EmpoweredOffice」や、クラウドプラットフォームに関する取り組みなどを展示。アップルのタブレット端末「iPad」で会議資料を閲覧するペーパーレスソリューションなどが来場者の人気を集めていた。
展示会場では、iPadやiPhone、GALAXY Sといったモバイル端末を業務に活用するソリューションがいくつか紹介されていたが、中でも目新しい取り組みとして注目されるのが、スマートフォンを内線電話機として使うFMCシステムだ。iPhoneやAndroidスマートフォンに、NECのSIPサーバー「UNIVERGE SV8500」と連携するアプリケーションを搭載。このアプリを使って、無線LAN経由でVoIP内線通話を行うシステムのデモが行われた。
iPhone内線アプリのデモ。固定内線電話機や他のiPhoneとの間で、内線番号で通話できる。通話だけでなく、保留・転送も可能だ(右) |
社内の無線LANアクセスポイント圏内に入ると、スマートフォンが無線LAN機能を使ってIP-PBXと連携する仕組み。スマートフォンが本来持つ通話機能とは別に、インストールしたソフトフォンアプリを動作させて、内線IP電話機として利用する。もちろん、内線番号で受発信が行えて、保留や転送も可能だ。
実際に固定電話機との間で通話をしてみたが、音声品質は、通常の携帯電話の通話と遜色ないレベルだった。仕組みとしては3G網のパケット通信でも通話が可能だが、通話品質が電波状況に大きく左右されるため、説明によれば「現状ではまだ難しい」とのこと。ただし、LTEの普及などにより、「さらに高速なモバイルブロードバンド環境が広がれば、社外でも同様の仕組みで内線VoIP通話が可能になる」という。
このFMCシステムは、iPhone向けアプリについては4月から提供開始する予定だ。また、Androidスマートフォン向けアプリについても、6月頃の提供開始に向けて開発中という。
NECネッツエスアイではこのほか、外出中にネットワーク経由で社内の自席PCなどにアクセスし、iPhone上で操作できるリモートアクセスソリューションも提供している。スマートフォンに着目して業務活用を検討し始める企業も増えているが、こうした複数のソリューションを合わせて活用すれば、スマートフォンを幅広い用途に役立てることが可能になり、導入効果もより高めることができそうだ。
リモートアクセスソリューションを使えば、外出中でもiPhoneから社内のWindows PCにアクセスして操作できる。小さな画面でも、メールやブループウェアの確認程度であれば十分に行える |