「ますますサイバー攻撃の脅威が増大している。様々な仕組みを導入したサイバー攻撃の防御強化はもちろん、万が一攻撃を受けた際でも、事業を継続させることが非常に重要である」
大日本印刷(DNP)常務執行役員の金沢貴人氏は、2023年9月28日に開催した記者発表会でサイバーセキュリティの重要性を説いた。
DNP 常務執行役員 金沢貴人氏
サイバー攻撃が悪質化する中、DNPは2016年よりサイバーセキュリティ人材を養成する「サイバーナレッジアカデミー」を立ち上げ、各企業のサイバーセキュリティ対策を支援してきた。実際に発生したサイバー攻撃の体験や経験をベースとした教育が特徴で、受講企業・団体は約280社、受講者数は7200人を超えるという。
一方、各企業のセキュリティ担当者からは、「経営層向けにインシデント対応訓練を計画したが、そのためだけに集まってもらえない」「事業部門はサイバー攻撃への対策ツールをインストールしようとしない」といった声も上がったという。
「経営層を含めた、全組織としてのサイバー攻撃へのリアリティが希薄であることの表れだ。また、防災訓練同様に実際に経験してみないと自分事化しにくい」とDNP ABセンター サイバーセキュリティ事業開発ユニット ユニット長の谷建志氏はサイバーセキュリティの現状を語った。
DNP ABセンター サイバーセキュリティ事業開発ユニット ユニット長の谷建志氏
そこで同社が着目したのが、「メタバース」を活用したサイバーセキュリティ対策だ。メタバースによる机上演習で、従業員に“体験感”を植え付けることが狙いだ。また、メタバースによる訓練であれば、場所による制約を受けない。実施会場や道具、ファシリテーターの準備も不要だ。