シスコ平井康文社長インタビュー「ビデオ・SNSが組織を変革」「企業の在り方に一石投じる」

新ビジョン「Ignite Japan!」(燃え上がれ日本)を引っ提げて登場した平井康文新社長。元気のない日本企業に火を点ける“切り札”としてシスコが力を入れるのがビデオやWeb2.0ツールなどを活用した「コラボレーション」だ。次世代企業の創造に意欲を燃やす平井社長にシスコの戦略を聞いた。

――シスコは11月24日、「Collaboration Summit Japan」を東京・渋谷で開催しました。コラボレーションをテーマにしたイベントとしては非常に大規模で、この分野にかけるシスコの熱意を強く感じたわけですが、企業におけるコミュニケーションやコラボレーションの今後について、どう考えていますか。

平井 コミュニケーションとコラボレーションは、常に一緒に語られがちですが、まず指摘しておきたいのは、この両者はまったく似て非なるものだということです。コミュニケーションは、あくまで情報伝達。一方、コラボレーションとは価値創造のプロセスであり、次元が違っています。

最近、我々は「ユニファイドコミュニケーション」ではなく、「コラボレーション」という言い方をするようになっていますが、その理由は、コミュニケーションの一段上の次元であるコラボレーションのフェーズに今、来ているからです。

――日本語にすると、コミュニケーションは「伝達・連絡」、コラボレーションは「協業・協力」ですから、確かに別物ですね。「コラボレーションのフェーズ」とは、企業が必要としているのは、もはやコミュニケーションのツールではなく、コラボレーションだということですか。

平井 そうです。ただ、そう言うとグループウェアやIM、電子メールなど、コミュニケーションやコラボレーションのためのツールは「全部揃っている」と言われる企業がたくさんあります。しかし実は、使い方を間違えていることが少なくありません。典型的な例が電子メールです。非同期通信である電子メールはコミュニケーションツールではありますが、コラボレーションツールではありません。このように、適材適所でツールを使っていないケースが数多く見受けられます。

シスコシステムズ 平井社長


――コミュニケーションとコラボレーションをきちんと分けて捉え、適切にツールを使う必要があるのですね。コラボレーションを加速させるツールとして、シスコが特に注力しているのはビデオです。今後すべての端末製品にビデオ機能を搭載することも明らかにしました。

平井 リアルタイムビデオは、離れた場所にいる人たちが、新しい価値創造という本当の意味でのコラボレーションを行うのに必要な道具です。シスコの社内ネットワークにおいては、すでにトラフィックの80%がビデオとなっていますが、ビジネスシーンにおいてビデオはもっともっと主役になっていくでしょう。

月刊テレコミュニケーション2011年1月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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平井康文(ひらい・やすふみ)氏

1960年11月、徳島県徳島市生まれ。83年3月、九州大学理学部数学科を卒業後、同年4月に日本IBMに入社。米IBM出向、日本IBM社長補佐、理事・ソフトウェア事業部長、米IBMソフトウェア・グループバイスプレジデントなどを経て、2003年3月にマイクロソフトに入社し取締役エンタープライズビジネス担当、常務執行役、執行役専務を歴任。08年2月、シスコシステムズに入社。副社長エンタープライズ&コマーシャル事業担当を経て、2010年8月に代表執行役員社長に。趣味はチェロ演奏、スキューバダイビング、ゴルフ、居酒屋探訪など

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