IX(Internete Xchange)事業といえば、通信事業者やISP、コンテンツ事業者らがビジネス相手。インターネットのハブとしてトラフィック流通を支える存在であり、一般企業や地方自治体などネットワークサービスのエンドユーザーから見れば、いわば裏方の存在だ。
その1社であるBBIXが昨年、企業向けの新サービス「OCX(Open Connectivitye Xchange)」を開始した。ターゲットは、クラウド化やデジタル化を進める企業や地方自治体で、AWSをはじめとするIaaSや国内各地のデータセンター(DC)への閉域接続を低コストに提供する。プラットフォーム事業本部 クラウド事業推進部 クラウド事業企画課 課長の榎本恵太氏は「IX事業だけで今後の成長曲線は描けない。そこからターゲットを広げるためにOCXを始めた」と話す。
BBIX プラットフォーム事業本部 クラウド事業推進部 クラウド事業企画課 課長 榎本恵太氏
地方のDC/CATVらと連携
企業向けのサービスではあるが、実はOCXは、地方のDC事業者やSIer、ケーブルテレビ(CATV)事業者、ISP等向けの商材でもある。BBIXはそうした地方事業者とのパートナーシップによって「地域DX」の新市場を開拓する戦略を進めている。
OCXはクラウド型でネットワーク機能を提供するNaaS(Network as a Service)と呼ばれるジャンルのサービスだ。各種クラウド/DCへの接続サービスをオンデマンドに提供するもので(図表1)、利用する企業・団体は管理ポータルから必要な帯域や機能を選択できる。ネットワーク機器の選別・購入や維持管理が不要なため、CAPEX/OPEXの低減にも貢献。「クラウド接続に関しては、1年で論理回線数は3桁に達した」(榎本氏)
図表1 OCXを使ったクラウド/DC接続のイメージ
ただし、同種のサービスは大手通信事業者やDC事業者も提供しており、OCXは後発だ。専用線サービスとも競合するため、正直ライバルは多い。
そんななかで、BBIXが攻め口に定めたのが地域DXだ。具体策は、地方のDC事業者やSIer、CATV事業者らパートナーが運営するDCを活用して「OCXの接続拠点」を全国に広げるというもの。地方の企業・自治体は最寄りの接続拠点まで回線を引けば、OCXの基盤網を経由してAWSやAzure等に低コストかつ安全につながる閉域接続が使える。地元の本社と東京支社をつなぐ拠点間網としても有用だ。「地方から東京・大阪まで専用線で接続すると月額数十万円。それが、OCXなら1桁万円でできる」と榎本氏。地方のパートナーとのタッグで、大手通信事業者のWANサービスに対抗する。