「今の時点ではまったく興味がない」――。KDDIの小野寺正社長兼会長は、2010年10月22日の決算説明会後に、携帯端末向けマルチメディア放送についての質問にこう答えた。
携帯端末向けマルチメディア放送は、米クアルコムのMediaFLO技術を採用するKDDI陣営のメディアフロージャパン企画(MJP)と、国産技術のISDB-Tmmを利用するNTTドコモ陣営のマルチメディア放送(mmbi)が1枠を巡って激しく争い、9月9日にmmbiが開設計画の認定を受けた。その後、mmbi側が委託事業への参加を呼び掛けていることもあり、KDDI側の動向が注目されている。
小野寺社長は、「世の中の噂だが」と前置きしたうえで、「リアルタイム放送だけで考えているのだったら、なぜワンセグ以上のものが必要なのか。それに尽きる。我々はメディアフローでデータのダウンロードサービスをメインでやりたかった。そういう意味では、今のmmbiの仕組みは、そこのところが何も明らかになっていないので、何も分からないまま一緒にやることはできない」と語った。