ソフトバンクは3月22日、同社R&D部門である「先端技術研究所」による技術展「ギジュツノチカラ ADVANCED TECH SHOW 2023」のメディアツアーを報道機関向けに開催した。今回は「自動運転」「HAPS」「次世代ネットワーク」「次世代コンテンツ」「量子技術」の6つのテーマで展示が行われている。
未来社会を支えるモビリティの可能性
2023年4月の改正道路交通法の施行に伴い、自動運転のレベル4が解禁される。コロナ禍における宅配需要の増加や慢性的なドライバー不足などが背景にある。ソフトバンクはこの自動運転サービスの早期実現に向け、本社を構える港区竹芝エリアで実証実験を行っている。人によるリアルタイムでの遠隔監視を、AIで完全無人化させることが目標だという。
ソフトバンク本社周辺を走行する自動運転デモカー
HAPSとは、成層圏をソーラーエネルギーで長期飛行する基地局を搭載した無人航空機、言わば「空飛ぶ通信基地局」だ。HAPSは地上から約20kmの高さを飛行するため、衛星通信と比べて低遅延・大容量の通信が可能となる。ソフトバンクは無人航空機メーカーのAeroVironmentと合弁で「HAPSモバイル株式会社」を設立し、無人航空機型HAPS「Sunglider」を開発した。2020年9月にはこのHAPSのフライトテストに成功している。固定翼型のHAPSによって、成層圏からのLTE通信に成功したのは世界初の快挙だという。
HAPSシミュレーター操作用操縦桿
ソフトバンクは通信会社でありながら、次世代電池の開発にも力を入れている。HAPSやドローンなどの空モビリティの世界では、軽量かつ高容量の電池が必要とされるからだ。現在使用されている電池はリチウムイオン電池が主流だが、更なる軽量化が求められる。2021年にソフトバンクは「ソフトバンク次世代電池Lab.」を設立し、軽量かつ高い重量エネルギーを持つ次世代電池セルの開発に成功した。この電池によって、従来の約1.7倍のドローン飛行時間を実現させたという。