NTTと国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)は2023年2月27日、宇宙データセンターの実現に向けて宇宙統合コンピューティング・ネットワークへの適用を目指した宇宙空間におけるコンピューティング環境とデータ処理についての共同研究を今年1月から開始したと発表した。
両社は社会課題の解決につながる革新的な光ネットワーク・インフラの構築など、技術融合による社会インフラ創出を目指した協力協定を2019年に締結し、「地上と宇宙をシームレスにつなぐ超高速大容量でセキュアな光・無線通信インフラの実現」を目指すべき世界観として共有した共同研究に取り組んでいる。
今回新たに開始した共同研究では、衛星観測データから必要な情報をより早く効率的に地上に届けるための処理を行うコンピューティング基盤へのAI技術の適用性を検証する。
NTTは、観測データから特定対象物やイベントの識別に多層推論技術を活用することで、宇宙から地上へ伝送するデータ量を必要な情報に絞ることで減らし、限られた通信リソース内で準リアルタイムに地上局へ転送することを目指した研究を行う。
JAXAは、地上民生分野において急速に拡大するAI技術を持つプレーヤーが、軌道上で地上にて開発されたAIアルゴリズムを活用する際の障壁となっているソフトウェアの開発環境について、コンテナ技術の活用により、地上と同じ環境で開発が可能となるようなソフトウェアフレームワークと、これらのソフトウェアが軌道上で動作可能となる宇宙計算機環境を構築する。このフレームワーク上では、軌道上であってもAIアルゴリズムが容易に書き換え可能であり、地上で検討された様々なアイデアや学習されたAIアルゴリズムの速やかな軌道上実証を可能とする。今後、様々な用途に利用可能な環境の構築を目指して研究を行うという。