NTT西日本は1月30日、同社含む7者で構成する実証コンソーシアムによる「ローカル5Gを活用した港湾・コンテナターミナルのDXの実現」に向けた実証実験を、大阪・関西万博予定地の夢洲(大阪市此花区)で同日より開始すると発表した。
コンソーシアムに参加するのはNTT西日本のほか、夢洲コンテナターミナル、三菱ロジスネクスト、大阪市、阪神国際港湾、京セラコミュニケーションシステム、NTTビジネスソリューションズ。この実証提案は総務省「令和4年度 課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」に採択されており、2021年度の開発実証に引き続き、実環境下におけるローカル5Gを活用した港湾業務の効率化・周辺道路の混雑緩和に向けた実証を行う。
グローバル化により港湾事業は重要性を増しているが、その一方で大型コンテナ船の寄港増加による荷役時間の長期化、コンテナターミナルのゲート前混雑の深刻化、高齢化および担い手不足といった課題を抱えている。こうした課題を解決するため、夢洲コンテナターミナル内にローカル5G環境を構築し、実環境下での港湾・コンテナターミナルのDX化による効果を実証する。
DX化に向けた取り組みとして行うのは次の3点。1つめは、コンテナターミナル内の各種システムで用いられていた無線機やWi-Fiのローカル5Gへの一元化を試みる。ネットワークの高品質化を通じた港湾業務全体の業務効率化を検証する。
ローカル5Gによるネットワークの高品質化実証のイメージ
2つめに、保管工程業務の効率化の観点で、従来は従業員に紙で配付していた荷揚げ計画指示書をデータ化する。指示書をプランニングデータとしてRTG(タイヤ式門型クレーン)に設置したタブレットに向けローカル5Gを用いて一斉にリアルタイム配信する。
コンテナプランニングデータのリアルタイム送信実証のイメージ
3つめに、トレーラー待機場の混雑対策として、ナンバープレート認識による混在状況の分析・予測を行う。トレーラーのナンバープレート画像をローカル5Gによって車番認証システムに送信し分析。予測した待ち時間をポータルサイトに掲載することでドライバーの行動変容を促し、車両来場時間の平準化が実現できるか検証する。
混雑状況の可視化による行動変容実証のイメージ
加えて、伝搬路におけるコンテナ等の遮蔽物や海面の割合などに着目した電波伝搬モデルの精緻化を行う。
今回の実証実験は2023年1月30日から3月24日まで行われる予定。実証により得られた知見を基に、全国の港湾事業全体の発展に貢献していくとしている。