――2009年7月1日に子会社だった日立コミュニケーションテクノロジー(日立コム)を吸収合併して1年強が経過しました。改めて、狙いとこれまでの取り組みを聞かせて下さい。
厚海 当社は現在、日立ならではの強みを生かし、高信頼な情報通信技術に支えられた社会インフラを実現する「社会イノベーション事業」への傾注を進めています。
日立コムの吸収合併はその一環であり、社会インフラに位置付けられる次世代ネットワーク(NGN)における提案力、技術力、システム構築力の強化を図り、通信キャリアを中心とする顧客の多様なニーズに応えることが目的でした。
1年が経過した今は、日立製作所にはさまざまな業種のSEや営業がいますので、各事業部と連携し、公共系の通信システムや大型コンピューターも含めた、情報と通信が一体となったシステムのご提案ができるようになってきました。
情報系以外でも、例えば情報制御システム社は電力系のユーザーを抱えています。現在スマートグリッドが注目されていますが、通信系のところ、スマートメーターとの接続部分を我々がビジネスとして手掛けていくことも視野に入れており、新規ビジネスのための連携も取りやすくなりました。
――社会イノベーション事業の重要なメンバーとして貢献できるようになったということですね。
厚海 社会インフラの神経網として、通信は非常に重要ですので、今後も力を入れてやっていきたいと思っています。
実は、昨年7月にはもう1つ、民需系の設計部隊を戸塚(横浜市戸塚区、通信ネットワーク事業部の拠点)にすべて集約するということも行いました。
以前はキャリア向け機器の設計を戸塚で、民需系は郡山(福島県郡山市)で分けて行っていましたが、ともにIP技術を使用した製品が増えていることもあり、この際、両方を融合した組織でIPベースのさまざまな技術開発を行っていこうということになりました。
現在、ホームゲートウェイ等の開発に取り組んでおり、新しい製品を共同で開発する体制が出来上がりつつあります。