NECは1月19日、Beyond5G/6Gの高速・大容量無線通信を実現するために、モバイルアクセスやフロント/バックホールの無線通信装置のキーデバイスとなるパワーアンプ(増幅器)を開発したと発表した。このパワーアンプは、量産可能で実績のある0.1-μm ガリウムヒ素(GaAs)pHEMT(pseudomorphic High Electron Mobility Transistor:疑似格子整合 高電子移動度トランジスタ)プロセスを採用。当半導体プロセスとしては、150GHz帯で世界最高(2023年1月19日現在、NEC調べ)の出力電力となる10mWを実現したという。
NECが開発したD帯のパワーアンプ
Beyond5G/6Gでは、5Gの10倍に相当する100Gbps級の高速大容量通信が期待されている。これを実現するには10GHz以上の広い帯域幅を確保できるサブテラヘルツ帯(100GHzから300GHz)の活用が有効であり、固定無線通信用に国際的に割り当てられているD帯(130GHzから174.8GHz)の早期実用化が期待されているという。
今回開発に採用した0.1-μm ガリウムヒ素(GaAs)pHEMT(pseudomorphic High Electron Mobility Transistor:疑似格子整合 高電子移動度トランジスタ)プロセスは、従来品と比較して高耐圧であり量産時のイニシャルコストが抑えられるとのことだ。
回路設計においては、高周波帯の性能低下要因を排除し、高出力化に適した整合回路の構成を採用したことにより、広帯域性と世界最高の出力電力を実現したという。
NECは、「本パワーアンプは、100GHz超帯の無線通信装置の高性能化、低コスト化を実現し、Beyond 5G/6Gの社会実装を加速するものだ」としており、早期の装置開発および社会実装を目指すという。