ユーザーの利便性を高め、同時にメンテナンス作業の効率化を図る。そして、M2Mサービスという新規事業を立ち上げる。そんな一石三鳥の目的を持ってM2Mに取り組んでいるのは、自動車車体整備事業者を主な顧客とする溶接機メーカーのヤシマだ。
M2Mに取り組む発端は、ロット単位で溶接機に不良が生じ、多大な損失を被ったことだった。その不良とは、最初は軽微な破損から始まって、最後は溶接機を司る部品が壊れるというもので、その間は2~3カ月。遠隔から溶接機の状態をモニタリングする仕組みがあれば、初期段階で故障の予兆をキャッチでき、溶接機に重大な障害が起きる前に対策を打つことが可能だった。損害額は部品代だけで2000万円に達したという。
また当然、顧客にも迷惑をかけてしまった。ヤシマでは、故障した溶接機の修理期間、顧客に代替機を提供するという手厚いアフターサポート体制を敷いている。しかし、「このときは端から壊れていったために代替機が足らず、お客様の溶接作業をストップさせてしまった」と常務取締役の吉野一氏は明かす。
自社製品の遠隔モニタリングの必要性を痛感したヤシマは、M2Mの導入を決断。そして今年5月、通信アダプタを搭載した溶接機の試作機が完成した。
通信アダプタを搭載した溶接機の試作機 |