2023年3月、IOWNオールフォトニクスネットワーク(APN)の商用サービス第一弾が開始される。IOWNの社会実装がいよいよ始まるとともに、既存ネットワークをはるかに凌ぐIOWNの性能・機能を活かすアプリケーションの開発・実証が本格化する。
IOWN1.0は超低遅延
思ったより商用化が早く、驚いた──。通信業界からそんな声も聞かれる「IOWN1.0」とはどんなサービスなのか。
APNはIOWNの基盤技術の1つで、電気信号への変換なしに光のみで伝送するネットワークのことだ。NTTの島田明社長は11月16日から開催した「NTT R&Dフォーラム 2022」で、その狙いと内容を説明(図表1)。早期商用化の理由を、映像・IoTデータトラフィックや消費電力の増大、低遅延アプリケーションのニーズの高まりに対応するためだと語った。
NTT 代表取締役社長の島田明氏
図表1 IOWN サービス第1弾「IOWN1.0」APNサービスの概要
フルハイビジョン映像を快適に視聴するには1.5Gbps程度の帯域が必要だ。今後より高品質な16K映像が使われるようになれば、1147Gbpsもの帯域が必要になる。3DのVR映像を駆使するメタバースが映像コミュニケーションの主役となれば、現在のWeb会議に比べて必要な帯域は約30倍にも膨らむという。また、IoTデバイスの増加も多大な負荷をもたらす。
この膨大なトラフィックをどうやって処理するのかとともに問題となるのが、消費電力だ。データセンターの消費電力は日本全体で、2030年には現在の約6倍に増大。世界では13倍に膨らむという。
そしてもう1つ、島田社長は「今後(世の中に)出てくるVRやAR、ロボット、ドローン、自動運転といったサービスの普及には、ネットワークのさらなる低遅延化が求められている。この解決に向けてAPNサービスを商用化する」と話した。