総務省は9月5日、無線設備規則の一部を改正する省令を公布・施行した。これにより実現するのが、920MHz帯小電力無線システムの広帯域化だ。つまり、「IEEE802.11ah」の国内利用がいよいよスタートする。
「Wi-Fi HaLow」の別名を持つ11ahは、数Mbpsの高速スループットを特徴とするWi-FiベースのLPWAシステムだ。従来のLPWAでは難しかった大容量センサーデータの伝送やセキュリティカメラ等の映像伝送、ロボットのファームウェアアップデートなどのユースケースでの利用が期待されている。
11ahと他のIoT向け規格との違い(出典:AHPC Webサイト)
11ahの推進団体である「802.11ah推進協議会(AHPC)」によれば、国内向けの製品開発も着実に進展している。現状、AHPCの会員企業5社が11ah対応製品の製品化を明らかにしているという。
国内で初めて11ahの技適を取得したのは、フルノシステムズだ。BLEやWi-Fi、有線LAN等でIoTデバイスを収容し、11ahで遠隔地へデータ転送する11ah対応アクセスポイントを開発した。年内を目途に一般販売をスタートする計画だ。
フルノシステムズの11ah対応アクセスポイント(出典:AHPC資料)
また、古野電気は11ah対応の超高感度カメラ、サイレックス・テクノロジーは11ah対応の無線モジュールやアクセスポイントなど、台湾Askey社は海外の11ah製品の国内対応を進めているという。
さらにシステムLSI開発ベンダーのメガチップスが、11ahのチップセット開発を行う豪モースマイクロ社への約100億円の投資を9月7日に発表するなど、国内での利用解禁を機に、11ahを巡って様々な動きが表面化してきている。
11ahの国内市場規模は、普及期を迎える2026年度には年間150万台超になると予測されている。