「OECD加盟国の中でも、日本はダントツに眠れていない国。約半数の人が睡眠について悩みがありながら、何も対策していないのも問題だ」
2022年8月31日にNTT東日本が開催したオンライン記者会見で、ビジネスイノベーション本部 ソリューションアーキテクト部の佐々木翠氏は、スリープテック事業を始めるきっかけについてそう切り出した。
睡眠不足、睡眠障害は健康に悪影響を及ぼすだけでなく、生産性の低下や居眠り運転、認知症・脳卒中等のリスクを増大させる。「睡眠は社会課題であり、企業や自治体も含めて考え取り組むべきだ。NTT東日本がリレーションを持つ企業や地域と一緒に、睡眠の改善に取り組んでいきたい」と同氏は話した。
NTT東日本 ビジネスイノベーション本部 ソリューションアーキテクト部の佐々木翠氏(右)と、
NTT DX パートナー プラットフォームビジネス部の中村元氏
異業種コラボで「潜在市場は3~5兆円」
スリープテックとは、IoTやAIといったデジタル技術を活用して睡眠の状態を可視化し、改善ポイントを分析、睡眠の課題を解消する取り組みだ。目指すのは「睡眠の質」改善である。
NTT東日本とその子会社のNTT DX パートナー(参照記事)は2022年6月に、睡眠計測・改善ソリューションを開発するブレインスリープとパートナーシップを結び、本事業を開始。そして今回、異業種とのコラボレーションを推進する新たな取り組みを始めることを発表した。
異業種との掛け合わせで睡眠市場の拡大を目指す
「寝具を中心とする既存の睡眠市場は約1.2兆円。だが、運動や食事、照明などの異業種と組み合わせることで、潜在市場は3~5兆円規模に伸びる」と佐々木氏は展望。従業員の睡眠を改善し、健康経営を実現する企業・自治体向けソリューションの開発を推進するために4つの事業を進めるとした。