NTT(持ち株)は2010年8月5日、2010年度(2011年3月期)の第1四半期連結決算を発表した。営業収益は前年同期比0.2%減の2兆4989億円、営業利益は同4.3%増の3397億円で減収増益だった。
第1四半期決算について説明するNTT(持ち株)の三浦惺社長 |
営業収益は、一昨年から昨年にかけては907億円の減収だったものが、40億円の減収にまで縮小した。主な要因として三浦惺社長は、(1)音声収入の減少幅縮小、(2)IP関連収入の増加、(3)携帯端末の販売収入増加を挙げた。具体的には、(1)では携帯電話のバリュープランが浸透して増加ペースが落ちたことに加え、固定電話の縮小幅が小さくなったことで音声収入の減少が670億円にとどまった。(2)については、フレッツ光の拡販やNTTドコモのパケットARPUの上昇などにより、544億円の増加となった。(3)は昨年まで大幅に減少していたものが23億円の増加に転じた。
営業利益の増加要因については、NTTドコモが顧客満足度の向上のためにさまざまな経費が増えたために113億円の減益となったものの、経費削減等でNTT東日本が120億円、西日本が112億円の増益となったことが効いた。営業利益の通期計画に対する進捗率は29.2%であり、「第1四半期が減益だったNTTドコモも、年度を通してみるとほぼオンラインに乗っており、グループ連結でみると順調に推移している」(三浦社長)という。
第1四半期の決算内容を受けて三浦社長は、光サービスの収支と事業構造改革に言及した。光サービス(フレッツ光+ひかり電話)の赤字幅は、2009年度で889億円、前年度比653億円もの改善となっており、「このまま推移すれば、2011年度には単年度黒字という(中期経営戦略の)目標を達成できるだろう」と語った。
光サービスの赤字幅は大幅に改善しており、2011年度単年黒字化の達成が見えてきた |
構造改革については、中期経営戦略で連結売上高の構成比を、2010年度末でIP系+ソリューション等のレガシー系以外を概ね3分の2(65%)、2012年度末で同4分の3(75%)にする目標を立てている。だが、すでに第1四半期時点で同63%に達しており、三浦社長は「年度末の目標は達成できる」と述べた。
2010年度末にはIP系とレガシー系の売上高の構成比が35%ずつになる見込み。三浦社長は「長年、減収の大きな要因を“音声系の落ち込みをIP系の収入でカバーできなかった”と言い続けてきたが、そろそろそう言わなくてもよい時期が近づいてきたかなという感触を持っている」と述べた |
第1四半期のフレッツ光の純増数(契約数)は58万8000件であり、年間計画に対する進捗率は28%と順調そうに見える。だが、解約率は1%強と変わらないものの、母数が増えているために解約数の増は続いており、純増数は前年同期比で7万1000件減少している。三浦社長は「マンションにおける光配線方式の導入等の従来からの施策に加え、アナログテレビからデジタルテレビへの移行まであと1年となったので、フレッツ・テレビの積極販売や、3D対応も含めて新しいサービスを加えるなどして年度の計画を達成したい」と語った。