「ユビキタスAI時代が来る」、野村総研がITロードマップ2018年版を発表

あらゆるモノにAIが搭載される「ユビキタスAI」時代が到来する――。野村総合研究所は2018年3月8日、「ITロードマップ」の2018年版を発表した。ビジネスや社会に影響を及ぼすと考えられる情報通信技術についての予測をまとめたもの。中でも今後5年の重要技術トレンドとして挙げたのがAI、そしてエッジコンピューティングや音声インターフェースなどだ。

RPAとチャットボットでホワイトカラー業務が自動化
3つめのトレンドは、ホワイトカラー業務の自動化の進展だ。城田氏は、これを実現する技術としてRPA(Robotic Process Automation)とチャットボットを挙げた。今後の進化の方向性として、RPAについてはAIとの組み合わせが、チャットボットについては社内業務への活用など用途の拡大が進むという。

現在のRPAの用途は定型業務を反復的に行うシーンが典型例だが、今後は「OCRや自然言語処理と組み合わせて、非定型業務にもRPAが使えるようになっていく」と予測する。

また、一時的な業務でも活用の可能性があると指摘。現時点では人間がルール作成や意思決定を行い、それに従ってRPAが作業を行うかたちだが、「AIを組み合わせることでRPAが学習してルールを作る、意思決定に必要な情報を自動的に収集する」ことも可能になると話す。これにより、RPAの適用範囲はまだまだ広がっていくだろう。

チャットボットについては、顧客サポートなどのBtoC向けサービスで活用が始まっているが、今後は社内のヘルプデスクの代行など社内業務での活用が進む。


チャットボットの活用例。社内業務での活用も広がる

さらに、問い合わせに自動で回答するFAQ用途での活用法だけでなく、「取引を実行したり、処理を代行するようなチャットボットも出てくる」と城田氏は予測する。実例として米国では、家財保険の契約・請求がチャットボットで完結するサービスがすでに商用化されていることを紹介した。社内活用においても、例えば出張費の精算を代行するといった使い方が考えられるという。

音声インターフェースの社内活用も
4つめは、音声インターフェースの普及である。

グーグルやアマゾン、マイクロソフト等が、クラウドベースの音声認識サービスをSDKとして外部に無償提供しており、専門知識を持たない企業でも、自らのサービスやハードウェアにその機能を組み込むことが可能になっている。いわば誰でも、「音声で使えるサービス」が開発・提供できる状況だ。

これを活用した例として、米国のホテルでは、客室にAIアシスタント端末を設置して「ルームコンシェルジュとして使うサービスが広がっている」。


音声インターフェースのビジネス活用の例

日本でも、ダイハツ工業がクルマの定期点検・整備業務に音声インターフェースを活用している。これまで紙に手書きしていた点検結果を声で入力できるシステムを開発。両手が塞がっている状態のまま入力作業を行えるようにした。

こうしたビジネス活用の例を挙げた上で城田氏は「企業は音声ユーザーインターフェース(VUI)への準備が必要」と強調。その際の注意点として、VUI端末は画面を備えていないことが多いため、音声のみを前提としたインターフェースの設計技術が重要だと指摘した。

「音声のみ」を前提としたインターフェース設計技術が鍵になる

最後は、データサイエンスの民主化だ。

世界中でデータサイエンティストが不足しており、日本は絶対数が少ないことに加えて、外部から優秀な人材を採用することも難しい状況にあると城田氏は指摘する。現実的な解は、「セミプロくらいの人材を増やすこと。そういった人たちでも使えるデータサイエンスツールが必要になる」という。具体的には、プログラミング能力がなくてもUIベースで使えるツールだ。

同氏によれば最近、コーディングレスで使える新たなツールが充実し始めているという。例に挙げたのはDataRobotと、グーグルの「Cloud AutoML Vision」の2つ。ユーザー側は独自に用意したデータセットをアップロードするだけで予測モデルを自動生成する。「データサイエンティスト不足の日本ではすごく価値がある」とした。

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