韓国モバイルビジネス動向ウォッチ[第10回]NFCで始まった金融と通信事業者の覇権争い(後)――リーダー/ライターの統一規格を国家主導で策定する韓国

モバイル先進国、韓国をウォッチしながら、新しいモバイル関連ビジネスの種を見つけていく本連載。前回に続き、日本での注目も高まる「NFC」をめぐる覇権争いに迫る。

日本はまたガラパゴスで終わるのか?

一方の日本はどうだろうか。これまで日本は、モバイル決済分野で間違いなく世界の先頭を走ってきた。2004年におサイフケータイが始まり、現在では6000万台を超える携帯電話で、コンビニなどの非常に多くの場所でモバイル決済が利用できる。

だがここに、しかしがある。日本で大成功を収めたFeliCaは、国際的には亜流の技術に過ぎない。世界のグローバルスタンダードは間違いなくNFCなのだ。日本の携帯電話事業者もこの事実を受け止め、矢継ぎ早に実証実験を韓国のSKテレコムやKTと始めている。

なかでもNTTドコモは今年2月にスペインで開催されたMWC2011で世界に向けてFeliCaとNFC融合のロードマップを示し、グローバルスタンダードへの対応をアピールした。2012年にもFeliCaとNFCのデュアル対応スマートフォンが誕生しそうだが、海外での動きは想像以上に早い。特にグーグルがGoogle Walletを発表したことで一段と加速された。このままでは以前のGSMとPDCのときのように、日本だけがモバイル決済で取り残されることになりかねない。

日本には、おサイフケータイで培ったアプリケーションやサービスが豊富にある。これらを迅速にNFCに対応させ、世界市場に展開していくことには、大きなビジネスチャンスがあるはずだ。日本企業の積極的な取り組みに期待したい。

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橋本清治(はしもと・せいじ)

IT業界での30年の経験を生かし、某外資系通信機器ベンダー勤務の傍ら、エムアンドエムリサーチを運営。主に海外の通信事情リサーチやベンダーの日本進出の支援を行う。現在は特に韓国のモバイル通信事情を注視している。表面的な事実の調査だけでなく、必要があれば現地調査も行う行動派リサーチャ。“真実は体で確かめる”が身上。コンタクトはinfo@mmrjp.comまで

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