韓国モバイルビジネス動向ウォッチ[第9回]NFCで始まった金融と通信事業者の覇権争い(中)――中国と韓国の最新動向

モバイル先進国、韓国をウォッチしながら、新しいモバイル関連ビジネスの種を見つけていく本連載。前回に続き、日本での注目も高まる「NFC」をめぐる覇権争いに迫る。

韓国は携帯事業者主導で

一方、韓国では携帯電話事業者が主導する形でNFCサービスの普及が始まっている。

韓国ではGalaxy S2の販売と同時にいくつかのNFCサービスが開始された。すでに交通系のプリペイドカードであるT-moneyがGalaxy S2のNFCで利用可能である。また、VISA/Masterの非接触系サービスである、VISA WAVEとPayPassもGalaxy S2で利用できる。

韓国の状況は日本と似ており、携帯電話事業者の狙いは金融市場への参入にある。SKテレコムやKTはカード会社を買収し、金融サービス業を開始している。いずれNFCを使ったクレジットカード決済の提供も始まるはずだ。ちなみに、韓国の携帯電話事業者のNFCの実現方法は、NFCチップをスマートフォン本体、SEをSIMカード内に実装するNFC/SIMとなっている。

SKテレコム版Galaxy S2に装着されているSIM/NFC。交通系のカードT-moneyとクレジットカードVisa Wave/PayPassのアプリケーション、SEなどを備えている
SKテレコム版Galaxy S2に装着されているSIM/NFC。交通系のカードT-moneyとクレジットカードVisa Wave/PayPassのアプリケーション、SEなどを備えている

次回は、NFCリーダー/ライターの統一規格問題や日本の課題などについて見ていく。

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橋本清治(はしもと・せいじ)

IT業界での30年の経験を生かし、某外資系通信機器ベンダー勤務の傍ら、エムアンドエムリサーチを運営。主に海外の通信事情リサーチやベンダーの日本進出の支援を行う。現在は特に韓国のモバイル通信事情を注視している。表面的な事実の調査だけでなく、必要があれば現地調査も行う行動派リサーチャ。“真実は体で確かめる”が身上。コンタクトはinfo@mmrjp.comまで

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