1.3.4 企業にとってのソーシャルテクノロジー(事例:IBM)
IBMは、ソーシャルテクノロジーをビジネスの中に最もうまく取り込んでいる企業のひとつです。対顧客や対社員、経営戦略と複数の領域で活用しています。
対社員
IBMでは、社員が“実名ブログ”を持ち、社外に向けて発信することを奨励しています。そのために文責、機密保持、著作権、文章を書く上でのスタンスなど、IBM社員として守るべき11か条からなるガイドラインを提示しています。「公私の切り分けが難しい」「管理できない」といって、“IBM社員”としてのブログ発信を制限するのではなく、ガイドラインを示した上で奨励することによって、個々の社員がステークホルダー(顧客・株主)とのコミュニケーションを深め、結果的に企業ブランドが向上すると考えているようです。
対顧客
IBMでは、前述のように社員にブログ発信を勧めるだけでなく、製品としてソーシャルネットワークを実現するソフトウェアやソリューションを提供しています。例えば、“ソーシャルソフトウェア”と称される「Lotus Connections」は、ソーシャルネットワークやソーシャルブックマーク、コミュニティ、ブログなどに対応していて、顧客企業のソーシャルテクノロジー活用を支援するものです。
経営戦略
IBMは、世界中の社員が参加する大規模なオンライン・ディスカッション「Jam」を開催しています。2006年に実施した「Innovation Jam」では、社員に加えて、その家族や顧客も巻き込み、総勢で世界104カ国・15万人がオンラインで参加し議論したと言われています。ここで生み出された5万件近いアイデアをもとに投資案件を決めたり、向こう5年間で人々の生活を変える可能性を持つ5つのイノベーションを「IBM Next Five in Five」としてまとめるなど、自社ビジョンや経営戦略に反映させています。
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