ワイヤレスジャパン/WTP2022の東陽テクニカブースでは通信キャリアや、無線技術を扱う研究所向けに様々なテストソリューションが並んでいる。
目玉ソリューションの1つが、米Spirent社のRFチャネルエミュレーター「Vertex」だ。文字通り、RF(無線)チャネルの環境を模擬することができるソリューションで、基地局装置や無線通信を行う端末に対し、多様な無線環境を提供してシミュレーションできる。
モジュール式RFチャネルエミュレータ「Vertex」
「例えば信号の強度やパスの種類、通信の遅延などのパラメーターを複数モデル化しており、自由に設定できる」と東陽テクニカの清川幸哉氏は紹介する。また、テストしたい実フィールドの無線環境をRFスキャナで取りこみ、連携することで実フィールドの環境を再現することも可能だ。5925MHzまでの周波数に対応し、外付けのオプションで28GHz帯まで対応する。
特長は、「業界で初めてモジュール型構成を採用したことだ」(清川氏)。
現状では最大でRF入力数16、RF出力数32で8x8MIMO 双方向まで対応できるが、ここまでの大規模な構成は必要ないユーザーも多い。Vertexシリーズは必要な構成に応じてモジュールを追加できるため、2チャネルSISOのようなベーシックな構成から徐々に増設していくことが可能だ。規模だけでなく、対応規格の面でも、例えば10年後の6Gや20年後に7Gを試験したいという時になっても、本体はそのままモジュールを買い替えるだけで対応可能になる可能性がある。コストメリットや柔軟性に優れた製品と言えよう。
Vertexの構成イメージ
RANもコアもシミュレーション
通信キャリアのネットワーク環境を模擬するソリューションも展示されている。「Spirent Landslide」だ。「RAN(無線アクセスネットワーク)やコアネットワークの環境を模擬できるソリューションで、接続性の確認が可能。モバイルネットワーク全域を模擬できる」(現地説明員)。
5Gモバイルコアノード/ネットワーク
パフォーマンステスタ&アクティブモニタ「Spirent Landslide」
また、コアノードや基地局などへの負荷試験用途での利用も多い。業界最高レベルの負荷試験を連続して可能なことが強みとなっている。ハイエンドのモデルでは「あるキャリアでは400万端末、800万PDUセッション、200Gスループットの負荷をかけ、エラーレート0.001%未満のテストを72時間実行できた。この規模で輻輳しないか、ネットワークが止まらないかを事前に検証できる」という。テスト対象の広さ、負荷試験の規模などが特徴となっている。