今、ITの世界に自動化の波が来ている。ネットワークの分野でも同様だ。ネットワークのライフサイクルは大きく設計、構築、運用に分かれる。この中で自動化が進んでいるのが運用のフェーズ。例えば「Ansible」がその一例で、同ツールを活用することでITインフラ全体の運用管理の効率化・省力化が実現する。その一方で、ネットワークの設計・構築側の自動化は「あまり進んでいません」とAPC 先進サービス開発事業部部長の内藤裕之氏は語る。
エーピーコミュニケーションズ 先進サービス開発事業部部長 内藤裕之氏
ネットワーク設計・構築工程でSIerが抱える課題とは
ユーザー企業は、ネットワークの設計・構築をSIerに外注することが一般的だ。SIerはユーザー企業から要件を聞き、それを満たすネットワークを設計・構築。納品前には構築したネットワークが正しく稼働するかどうか、ネットワークテストを実施するが、「手動で行われるのが一般的となっています」とAPC 先進サービス開発事業部 マネージャーの高橋拓郎氏は話す。そのため、十分な知識やスキルのあるエンジニアが担当することになる。
エーピーコミュニケーションズ 先進サービス開発事業部マネージャー 高橋拓郎氏
テストには工数がかかるため、一般的に一定割合のテスト項目をピックアップして実施するケースが多い。そのため規模が大きくなると、その粒度が粗くなる可能性がある。
「納品後にトラブルが発生することはないか、担当エンジニアは常にそういう危惧を抱いている。ネットワークテストはエンジニアにとって、心理的にも時間的にも大きな負担になっている」と内藤氏は指摘する。
日本は人口減少時代に突入しており、人材不足の懸念は深刻だ。こうした環境の中で、品質を担保したまま、テストにかかる工数をいかに削減するか──。この多くのSIerが抱える課題を解決するのが、APCの提供するファイアウォール・ネットワークテスト自動化製品「NEEDLEWORK」である。
NEEDLEWORKを開発したAPCは、1995年設立のSIerである。同社ではさまざまな企業のシステムインテグレーションを請け負ってきており、同社のエンジニアもネットワークテストにおいて先のような課題を抱えていた。
そこでそれらの課題を解決しようと同社のエンジニアが開発したのが、NEEDLEWORKなのである。つまりNEEDLEWORKはネットワークエンジニアが開発した、エンジニアのための自動化製品だ。
NEEDLEWORKは仮想アプライアンス製品という形態で提供され、Microsoft Hyper-V上で動作する。仮想アプライアンスの最低動作環境はメモリ8GB、CPUは第6世代インテルCorei5 2.30GHz以上、ストレージ(SSD)30GB以上の空きのあるWindowsマシンというように、特別なスペックの端末を必要としない。
使い方も簡単だ。テスト対象機器とNEEDLEWORKがインストールされた端末を接続し、あとは端末のブラウザからNEEDLEWORKの操作の操作を行うだけだ。
図表1. NEEDLEWORKはMicrosoft Hyper-V上で動作をする仮想アプライアンス製品