5Gを高度化する次期仕様が、「5G-Advanced」と命名された。
標準化団体の3GPPは2017年に始まったRelease 15(Rel-15)から、2022年3月に完了予定のRel-17までで、段階的に5Gの標準仕様を決めてきた。5Gの標準化はこれで一段落となるが、進化が止まるわけではない。
2022年上期にスタートするRel-18では、5G-Advancedの標準化が始まる。図表1は今後のスケジュール(2024年以降は推測)を示したもので、Rel-18から20までが5G-Advancedと呼ばれることになる。
図表1 5G-Advanced/6Gの暫定的タイムプラン(エリクソンの見解による)
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6Gとの関係性は?5G-Advancedは、どんな無線システムになるのか。
Rel-18で議論される項目は今まさに検討されているところで、2022年3月頃までに方向性を定め、早ければ4月から仕様検討を開始。2023年末の完了を予定している。これを反映した5Gソリューションは2025年頃に市場投入される見込みだ。
気になるのは6Gとの関係性だ。
多くのベンダー/通信事業者が6Gのコンセプトをすでに打ち出しており、5G-Advancedの標準化と並行して6Gの要件定義(2025年頃の予定)等も進められていく。この2つは基本的に独立しており、6Gはあくまで5Gとは基本設計が異なる新世代のシステムとして議論される。
とはいえ、かつてLTE-Advancedに、5Gの目玉機能の1つであるMassive MIMOが部分的に使われたように、6G機能の前倒し導入が生じる可能性は十分にある。エリクソン・ジャパンCTOの藤岡雅宣氏は「6Gの標準機能として議論されているものの一部も5G-Advancedに取り込んでいきたい。連続性を持たせたいというのがエリクソンの考え方だ」と語る。
エリクソン・ジャパン CTO 藤岡雅宣氏
以下、エリクソンおよびノキアの見解を基に、5G-Advancedの進化の方向性を展望しよう。