感染者の減少とともに、一度は終息が見えてきた新型コロナウイルス。しかし、変異株「オミクロン株」が出現し、一部地域では爆発的に感染が拡大するなど、依然として脅威が続いている状況だ。
感染拡大を防ぐためには今後もリモートワークの継続が望ましい。しかし東京商工会議所の調査によれば、コロナ禍においても、大企業と比べた中堅中小企業のリモートワーク実施率は低く、従業員規模が小さい企業ほどテレワークを実施していないという調査結果が出ている。
中堅中小企業のテレワークを妨げている要因は複数あるが、テクノロジー面ではなんといってもVPN装置のひっ迫が最大の課題だ。
IDC Japanが国内ネットワーク利用動向を調査した結果によると、約26%の企業が「トラフィックの増加」がリモートワークの妨げになっていると回答し、トラフィック増加のボトルネックとしてはVPN装置が一番の要因を占めていた。
「従来のネットワークアーキテクチャでは多くの人が、本社にあるVPN装置を経由して社内のサーバーやクラウドにアクセスする必要があります」とQNAP 営業部 プロダクトマーケティングマネージャーの原幸人氏はその背景を説明する。従業員がMicrosoft 365やZoomなどのクラウドサービスを利用したり、社内のファイルを利用するたびにVPN装置を経由する仕組みになるため、VPN装置のキャパシティが限界を超えるとネットワークがつながりにくくなり、生産性の低下につながっているのが現状だ。
「解決策の1つはエンタープライズ向けのVPN装置を購入してキャパシティを増強することですが、中堅中小企業にとってはあまり現実的な価格ではありません。そのため、今でもVPNのパフォーマンスを維持できるように出社を交代制にしている中堅中小企業の話はしばしば聞きます」と原氏は語る。
QNAP 営業部 プロダクトマーケティング マネージャー 原幸人氏
拠点間VPNを自動構築 ネットワーク品質を向上この課題を解決するのがQNAPの提供するSD-WANソリューション「QuWAN」である。QuWANは、中堅中小企業が本社のVPN装置に依存する仕組みから脱却し、次世代ネットワークに移行するための3つの要素を実現したソリューションだ。
1つめの要素は柔軟なネットワークが構築できること。QuWANには「Auto VPN Network」機能がある。これはQuWAN子機同士が連携し、自動でフルメッシュVPNを構築してくれる機能だ(図表1)。
図表1 メッシュネットワークのイメージ
従来型のVPNの仕組みでは、拠点内や、拠点間で完結する通信も本社のVPNを経由する必要があった。QuWANでは例えばWi-Fi 6対応ルーターとしての機能を持つ「QHora-301W」などの子機を各拠点に導入することで、全拠点が相互に接続するメッシュ型ネットワークを構築。拠点間を最短経路でセキュアにアクセス可能になる。
リモートワーカーも本社VPNではなく最寄りのQuWAN子機にアクセスすればVPNを利用できるようになる。「例えば、支店のファイルサーバーにアクセスしたい場合には、本社を経由する必要がなくなるため、VPN装置への負荷を抑えることができます」と原氏は説明する。
もちろんSD-WANの目玉機能である「ローカルブレイクアウト」も可能で、DPI(Deep Packet Inspection)機能で通信の宛先を判別し、Microsoft 365やZoomなどへは、最寄りのQuWAN端末までの通信を保護し、各拠点から直接アクセスすることができる。
さらに複数の回線をアグリゲーションする機能もあり、普段利用している回線とバックアップ回線を束ねて1つの回線のように扱うことで、ネットワーク品質を高めることが可能だ。