「WANの帯域がひっ迫しているからSD-WANを導入してみよう」
そう検討している方は少しだけ待ってほしい。SD-WANは確かに便利な製品だが、場合によってはロードバランサーで事足りるし、導入するにも様々なソリューション、導入形態がある──。こうした姿勢で、ユーザーの課題に対して複数の選択肢を提示し、柔軟なアプローチで課題解決を図っているのがユニアデックスだ。
多くの企業WANはハブ&スポーク型の構成をとっている。インターネット接続などの対外通信は本社/データセンター(DC)に集約し、ファイアウォール(FW)やプロキシなどのセキュリティ対策を適用した上で外部と通信するネットワーク構成だ。このハブ&スポーク型がクラウド利用の増大に伴い非効率になっているのである。「クラウド、SaaSへのアクセスを改善したいというユーザーが増えています」とユニアデックスの上水公洋氏は語る。
ユニアデックス サービス企画部 プロダクト企画室 マーケティングマネージャー 上水公洋氏
ユニアデックスの元には「現場からはカメラを使ったWeb会議をしたいと要望されているが帯域がない」「Web会議の利用増大に伴いネットワーク帯域がひっ迫し、音声の途切れが頻発している」「主要拠点の増速は費用が高いわりに効果が薄い」「テレワークの増加でVPN装置や帯域がひっ迫している」などの声が寄せられているという。「特に物流や工場などのテレワークが難しい現場では、クラウド利用に伴いトラフィックが増大しているため課題が深刻です」と上水氏は話す。
WANの改善に複数の選択肢 将来的にはSD-WANが有力現状がハブ&スポーク型の場合、クラウド/SaaSへのアクセスを改善するためのアプローチは複数あるという。「1つは、回線の増速やプロキシの容量拡大といった既存インフラの増強です。拠点間を結ぶ回線はそのままで、インターネット回線のみを増やすというアプローチもあります」と上水氏は説明する。2つめはロードバランサー(負荷分散装置)を本社/DCに設置し特定の通信をバイパスさせる方法だ。「Microsoft 365の通信だけなど、特定の宛先のみを対処したい場合は、大掛かりな構成変更は必要ありません」。これらのアプローチは既存の運用をあまり変更する必要がないという利点があり、選択肢として決して否定されるものではない。ただ、「この2つはいわば対処療法で、トラフィックが増えるたびに同様の対処が必要になるという悪循環に陥ります」と上水氏は警告する。
そこで、SD-WANが有力な選択肢として出てくる。SD-WANを導入するにも大きく2つの方法があり、1つはバックアップ回線に特定のクラウド宛通信を振り分けて運用する方法。2つめはバックアップ回線とメイン回線をSD-WANで束ねて、トラフィックの通信状況などに応じて最適な経路を使い、クラウドSaaSへ直接通信をさせる方法だ。「後者を選択する場合、中央の本社/DCにはほとんどトラフィックを経由させる必要がなくなります」と上水氏は解説する(図表1)。
図表1 SD-WANの主な導入形態
現実には前者からSD-WANの効果を確かめて徐々に後者の運用に移行する企業が多いそうだ。
ユニアデックスはこれらの複数の選択肢を提示し、企業がどのようなITインフラを目指しているか、どのような運用形態をしているかなどの内容を踏まえて実際の導入から運用まで支援するスタンスをとっている。
4ベンダーの強みを分析 24時間365日の保守体制もではSD-WANを導入するとして、どう選べばいいのだろうか。「現在、多くのソリューションが出揃っており、各社の得意な機能がはっきり分かれています」と上水氏は言う。各社の強みをもとに選ぶのが近道になりそうだ(図表2)。