NTTドコモは2021年10月25日、中期戦略に関する記者会見を開催し、NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)とNTTコムウェアをドコモの子会社化すると発表した。
「NTT ComとNTTコムウェアをグループに迎え入れ、新ドコモグループとして新たな世界の実現に向けて挑戦していきたい」。ドコモの井伊基之社長は、3社統合への意気込みをこう表現した。
NTTドコモの井伊基之社長 |
NTT ComとNTTコムウェアの子会社化によるシナジーは、大きく3点ある。
1つめが、法人事業の拡大だ。
新ドコモグループとしての法人事業はNTT Comに統合され、「docomo business」という新たなブランドを立ち上げる。大企業から中小企業までワンストップでサポートする体制を構築することで、社会・産業のDXへの貢献を目指す。
法人事業の新ブランド「docomo business」のロゴ |
具体的には、ドコモの移動網とNTT Comの固定網を融合した移動固定融合サービスや5G・IoTなどの先端ソリューションを企業に提供する。また、全国の中小企業向け営業体制を強化するとともに、サービスを拡充することで、地域課題の解決にもつなげていきたいという。
井伊社長は「ドコモの法人事業は回線サービスが主流だが、NTT Comのシステムやソフトウェア、クラウドサービスを利用可能になる。NTT Comも固定にモバイルが加わることで提供価値が高まる。両社の足りなかったところを組み合わせることで法人事業を強化し、数字を大きく伸ばしたい」と統合による効果を説明した。
両社の法人事業の2020年度売上高は合わせて1.6兆円だが、2025年度に2兆円まで拡大する。NTT Comの丸岡亨社長は「ドコモのブランド力とコムのソリューション力を組み合わせることで、4000億円を上乗せしたい」と述べた。
NTT Comの丸岡亨社長 |
新ドコモグループは法人事業と併せ、スマートライフ事業も成長の原動力に位置付ける。
スマートライフ事業は、金融・決済や映像・エンタメなど、非通信ビジネスとしてドコモが注力してきた分野だ。
このうち映像・エンタメについては、ドコモとぷららの事業統合によりコンテンツを強化する。既存領域の強化に加えて、電力やメディカル、XRなど新規領域も拡大し、新ドコモグループの2025年度の収益の過半を法人事業とスマートライフ事業で創出したい考えだ。
「OCN モバイル ONE」などNTT Comのコンシューマー事業はNTTレゾナントに移管し、レゾナントはドコモの子会社となる。
MVNOサービスを扱うレゾナントをドコモのサブブランド化する可能性については、「未来永劫変わらないわけではないが、今は考えていない」と井伊社長は否定した。