2010年11月18日、総務省の「ワイヤレスブロードバンド実現のための周波数検討ワーキンググループ」の第9回会合が開催された。今回は同WGが9月の前回会合以降、主要テーマである700/900MHz帯の割当問題を中心に非公開で実施してきた関係者ヒアリングの結果が報告された。あわせて9月2日から「携帯電話等周波数有効利用方策委員会」で行われてきた技術検討の結果も示された。
WGでは、総務省が検討してきた700/900MHz帯をペアで利用する案を、700MHz帯と900MHz帯それぞれに海外の周波数割当と整合性の取れた帯域を設定する形に見直すかどうかが大きな論点となっている。
今回のヒアリングでは携帯電話事業者については5事業者すべてが個別割当案を支持したことが報告された。3月に開かれたWGのヒアリングではドコモだけが700/900MHz帯をペアにする案を望ましいとする意見を述べており、今回、事業者のスタンスは「見直し」で一本化された形となった。
個別割当案の実施にあたって周波数の移行を迫られることになるラジオマイクやFPU、MCA無線、RFIDなどの運用を行っている関係者へのヒアリング結果については「(移行には必ずしも賛成ではないが)移行する場合には、移行経費携帯電話事業者などが負担することは必須であり、その他一定の条件を確保することが必要」とされ、特に2万局が運用されているラジオマイクに関しては「移行を最小限にして欲しい」という要望が寄せられていることが示された。
周波数有効利用方策委員会による技術検討結果については、WGの中間取りまとめで示されている個別割当の具体的なモデルのうち、900MHz帯のモデルについては「概ね実現可能」、700MHz帯で示された4つのモデルについては「多くのシステム間で干渉検討が未了。ガードバンドの最小化に向けて引き続き詳細な評価を行う必要がある」とされたことが報告された。
事業者の意見が統一されたことで、700/900MHz帯割当てプランの見直しに向けた機運が高まりそうだ。