東大発スタートアップのLPWAが世界へ ソナスが仕掛けるアライアンス

独自開発のLPWA「UNISONet(ユニゾネット)」を武器として、東京大学の森川博之教授の研究室から生まれたソナス。創業から5年の歳月を経て、UNISONetのアライアンスづくりに挑もうとしている。


――UNISONetは「同時送信フラッディング」という転送方式を活用し、安定性、省電力、ロスレスデータ、時刻同期などの特徴をルーティングレスのマルチホップ通信で実現したIoT向け無線技術です。主にどのような用途で使われているのでしょうか。

大原 我々の主要事業の1つは、加速度センサーなどとUNISONetを組み合わせたセンシングソリューションです。現在は橋梁やビルなどのモニタリングでの活用が大きな部分を占めており、今後は工場や機械、倉庫などの領域にも注力していきます。振動や音のセンシングにより、工場や倉庫の各設備の稼働監視や機械の故障予知を実現可能で、すでにいくつかの事例も出ています。LPWAとしては後発ですが、我々にしかできない領域があり、非常にやりがいを感じています。

――起業を決意したきっかけについて、「UNISONetを世界で勝負できる技術と確信したから」と以前話されていました。起業から5年以上たった今もその確信は変わっていませんか。

大原 それは全く変わっていません。通常、橋梁やビルなどの劣化をモニタリングするためには、数十以上の箇所で同時刻かつデータの欠落なく、数カ月から数年にわたってセンシングする必要があります。通常のマルチホップ系の無線では、この規模でのルーティングは難しく、セルラー系はバッテリー消費が激しい。こうした要求に応えられる無線はUNISONetだけだと自負しています。この分野では世界を獲れると確信しています。

ソナス Co-Founder/CEO 大原壮太郎氏
ソナス Co-Founder/CEO 大原壮太郎氏

――UNISONet自体は今後も進化していきますか。

大原 現在大きく取り組んでいるのはGPSとの同期機能です。その他にも高速化や低消費電力化など、基本的な性能も強化していきたいと思っています。

――ビジネスは順調に拡大しているのですか。

大原 創業時から基本的に右肩上がりで売上が拡大しています。コロナによる打撃は受けていますが、今期も順調に成長できており、数億円の売上に着地する見込みです。

月刊テレコミュニケーション2021年6月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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