みずほコーポレート銀行の音声基盤更改プロジェクト――UC実現に向けて運用体制も刷新

みずほコーポレート銀行は今年6月、グローバルの音声基盤を更改した。その重要な目的の1つは、ユニファイドコミュニケーションの展開に向けた運用体制・機能の整備だった。

12営業日から1日に短縮

さらに従来、「開発」業務に分類してきた「MACD」も完全に「運用化」した。MACDとは、Move、Add、Change、Deleteの頭文字の略。IP電話機の移設や電話番号の変更作業などのことだ。

前述の通り、みずほCBの大半の拠点は今もPBXで拠点内の通話を制御している。このPBXは管理部の所管だ。IT・システム統括部が所管するのは、グローバル音声基盤とそれで直接制御している一部拠点のIP電話機だが、PBX拠点と比べると運用面で見劣りしていたという。「例えば電話番号を変更するのに、予定通りで12営業日、下手すると1カ月近くかかっていた」とIT・システム統括部システム運用室総括チーム次長の成田正一氏は明かす。

これほどの日数がかかっていた理由は、変更依頼を受けてから「開発」を担当するみずほIRに依頼、見積もりや発注などのプロセスを経て、ようやく実際の変更作業が行われていたためだ。「障害時を例にとると、電話に関しては今まで、アラームが鳴ったら『開発』に連絡して『ここに障害が出ている』と伝えるのが運用の仕事だった。しかし今回、運用がワンストップで行う体制に改めた」とシステム運用室長の齋藤幸夫氏は話す。その結果、「今では1日で電話番号の変更ができる。エンドユーザーから見ると、すごい利便性が上がった」(成田氏)。また、運用関連のトータルコストも削減できているという。

UCの展開を考えるうえでは、いかにPBXを巻き取っていくかが大事なポイントの1つだ。だが、これまでグローバル音声基盤による巻き取りはなかなか進展しなかった。その要因としては、PBXのほうが運用サービス面で優れていたこともあったという。「“たかが電話、されど電話”で、IP電話をしっかり運用できなければ、UCにはステップアップできない」(長瀬氏)

しかし今回、IP電話の運用体制・機能の強化が図られたことで、みずほCBはUCの実現へ大きく前進したことになる。齋藤氏は「この運用体制・機能をさらに育てていきたい」と意欲を見せる。

09年4月から夏まで行った予備検討では、今後どのようなコミュニケーションツールを展開していくのかについても時間をかけて議論を重ね、将来のロードマップも作成したそうだ。

運用体制・機能という基盤の整備が進んだ今、みずほCBはいよいよUCの本格展開に向けたスタートラインに立った。

月刊テレコミュニケーション2010年10月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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