OKIは2021年5月27日、光アクセスネットワーク「PON （Passive Optical Network）」のネットワークスライシング実証実験に成功したと発表した。

同社は、総務省の委託研究「IoT機器増大に対応した有無線最適制御型電波有効利用基盤技術の研究開発（JPJ000254）」の取り組みの一環として、東京大学大学院工学系研究科中尾研究室（教授：中尾彰宏氏）および三菱電機と共同で、「PONリソース管理・割当制御技術」を開発している。今回、自動運転や動画配信、さらにはIoTセンサーを利用した通信サービスなどに合わせて通信リソースを最適化するネットワークスライシング技術「PONスライシング」を開発。その実証実験に成功した。

5Gで求められる大容量、低遅延、多数接続などの機能を論理ネットワークとして切り出すことにより、多数の小型基地局を組み合わせて構築する5G無線アクセスネットワーク（RAN：Radio Access Network）の光配線をフレキシブルかつ簡素に実施できるほか、無駄な小型基地局やPON資源を節約し、運用コストの削減が可能になるという。

PONスライシングの概要

今回開発したPONスライシングは、スライスごとに動的な帯域を割り当てるマルチDBA（Dynamic Bandwidth Allocation）機能と、物理的なPONの装置から必要な資源を割り当てる資源制御機能の両方を搭載することで、通信サービスに合わせた柔軟かつダイナミックな通信リソースの管理・提供を可能にした。

実証実験では、テストベットとして構築したPONシステムから、同時に駆動する複数の論理ネットワーク（動画サービス用、低遅延サービス用）上で、実運用を想定した大容量の動画（道路模型で小型の車を走らせるなどの映像）の撮影・配信を行い、映像が乱れることなく、安定した通信環境での動画配信サービス提供が可能であることを確認した。また、ネットワークスライシングなしでは動画配信に約3msの遅延が発生するのに対し、200μs以下の低遅延で通信できることが実証されたとしている。