2019年のデバイス出荷台数は42億台(ABIリサーチ調べ)と、Bluetoothは世界で最も普及する近距離無線通信技術の1つだ。Bluetooth 4.0で省電力モードのBluetooth Low Energy(BLE)が追加されて以降、IoT領域での活用範囲が大きく広がった。
2016年に発表したBluetooth 5.0においても、新機能の開発はBLEに特化。標準化団体であるBluetooth SIG アジア太平洋地域 シニアマーケティング マネージャーのロリ・リー氏によれば、「ここ数年の進歩は、市場からの要望に答えるためBLEの機能性に焦点を当てている」。
BLEの強みは「幅の広さ」2020年末にアップデートされた最新仕様Bluetooth 5.2まで、主要な追加機能はすべてIoT用途を想定したものとなっている(図表)。
図表 Bluetooth 5.0以降の主な強化ポイント(画像クリックで拡大)
新ユースケース開拓の技術的土台となっているのが、Bluetooth 5.0での2つの通信方式の追加だ。従来比2倍となる最大2Mbpsの通信速度を実現するLE 2M PHY、通信範囲が従来比4倍で見通しさえよければ1km超の長距離通信も可能なLE Coded PHYが加わった。
2017年にはメッシュネットワーク構築を可能にする「Bluetooth mesh」も追加。多対多間のデバイス通信と大規模なセンサーネットワークをサポートできるようになった。
もう1つ、「アドバタイズ拡張機能を使って、より大きなデータをブロードキャストできるようになった」のも重要な点だ。ペイロードサイズは8倍に拡張し、IoTデータ量の増加にも対応してきている。
このようにBLEは10m~1km超までの通信範囲、125kbps~2Mbpsの通信速度をカバーし、幅広い用途に対応できる。さらにP2P通信、スター型/メッシュ型、ブロードキャストと多様なトポロジーをサポートしていることも強みだ。従来はスマートホーム向けが中心だったが、ここに来てスマートビルやスマートファクトリー分野でも採用が広がってきている。