NTTドコモは2021年2月3日、5Gネットワーク技術と5Gソリューションの海外展開に関する発表会を開催した。
「新たな事業領域の拡大に向け、多くのパートナーとともに5Gのエコシステムを構築し、海外に展開していくことにした」――。会見の冒頭、ドコモの井伊基之社長は目的をこう説明した。
NTTドコモ井伊基之社長 |
5Gネットワーク技術については、海外キャリアのニーズに合わせて自由に基地局装置を組み合わせられるオープンRANを提供する「5GオープンRANエコシステム」を設立、初期パートナーとしてエヌヴィディアやクアルコム、インテル、デル・テクノロジーズ、NEC、富士通など国内外のベンダー12社との間で覚書を締結した。
「5GオープンRANエコシステム」には、国内外のベンダー12社が参加する |
この12社と協力し、オープンRANの導入を検討している海外キャリアの要望に合わせて、最適な無線アクセスネットワークをパッケージ化し、導入・運用・保守まで提供することを目指す。
ドコモはLTE時代からネットワークのオープン化に着目しており、5Gでは2018年に海外の主要キャリアとともに、無線アクセスネットワークのオープン化とインテリジェント化の推進を目的とした「O-RAN Alliance」を設立。2020年9月には、O-RAN仕様を用いた5G基地局のラインナップを拡大するなど積極的に取り組んできた。5GオープンRANエコシステムは「ドコモがこれまで蓄積してきたオープンRANに関する知見やノウハウと、ベンダー各社の強みの融合により、それぞれの長所を最大限に発揮することができる」と常務執行役員の谷直樹氏は語った。
「5GオープンRANエコシステム」では各社の強みを融合する |
ドコモではオープンRANをさらに推進するため、汎用サーバーの活用でより柔軟かつ拡張性の高いネットワークを実現する仮想化基地局(vRAN)を2022年度の商用化に向けて開発する。
本日よりvRANの性能評価などの検証に向けて議論を始めるとともに、ドコモR&Dセンタ(神奈川県横須賀市)にvRANの検証環境を構築。2021年度中には、オープンRANの導入を検討している海外キャリアが遠隔からアクセスし、自由に検証を行えるようにする。
ドコモR&DセンタにvRANの検証環境を構築する |
無線アクセス開発部長の安部田貞行氏は「Tier1や新規事業者など多くの海外キャリアがオープンRANを必要としている。マルチベンダーによるオペレーションでオープンRANの導入に貢献したい」と述べた。