「今日、商談がクローズできました」。営業担当社員がつぶやくと、即座に「コングラッチュレーション!」というコメントが入ってくる。
これは、セールスフォース・ドットコムが2010年6月に提供を開始した社内マイクロブログ「Chatter」上でのやりとりだ。コメントを返したのは、同社のマーク・ベニオフ会長兼CEO。経営者が社員の成果をすぐさま評価すれば社員のモチベーションが高まり、組織は活性化する。それだけではない。組織の壁や国境を越えて情報を隅々に行き渡らせる社内マイクロブログは企業の神経網として機能し、ビジネススピードを加速させる。
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セールスフォース・ドットコムのChatterのホーム画面(左)とプロファイル画面 [クリックで拡大] |
社内マイクロブログとはどのようなものか。マイクロブログはインターネットの利用者が情報を発信するソーシャルメディアの1つ。世界中に多数の利用者がいるTwitterがその代表だ。Twitterの大きな特徴は書き込むメッセージの量を140字以内に制限していること。ホームページを手軽にしたのがブログだが、そのブログをさらに簡易にしたのがマイクロブログである。タイトルも写真も付けないマイクロブログは、最も気軽なテキストべースのコミュニケーションツールといえる。
Twitterは、パブリックなサービスだ。一方、手軽にコミュニケーションできるマイクロブログの特徴をそのまま生かしながら、社内にクローズしたイントラネット向けコラボレーションツールとしてセールスフォースが開発したのがChatterである。Chatterの利用企業は今年6月の正式リリースから1週間で1万社を突破した。Salesforce CRMのユーザーであれば、Chatterの機能を有効にするだけで利用を開始できることもあって、Chatterの滑り出しは上々のようだ。
社内マイクロブログを搭載したコラボレーションツールは、IBMも開発している。また、日本でもWebアプリケーション開発を事業とするモディファイが社内マイクロブログ「SMART4B」をSaaSの形で2009年12月から無償で提供し、商用化に備えてノウハウを蓄積している。2010年8月現在で700を超える会社/部門が利用登録しているという。さらに、NECの「Social Tool Mart/SNS」やビートコミュニケーションの「Beat Office」などの社内SNS製品にも短いメッセージを投稿する機能が取り入れられるなど、企業内コラボレーションツールとして社内マイクロブログが台頭し始めている。