テレワークしながらリモート検証も
検証用にホワイトボックススイッチ、ネットワークOS、光トランシーバーを揃えるには購入費や人件費がかかる。さらに、“どの組み合わせがよいのか”“自動化をどうやって始めればよいのか”など必要な情報、知識を得るのも簡単ではない。
マクニカの顧客企業でもこれまで、興味はありながら「PoCの予算を用意できない」「まだ早い」と躊躇するケースが少なくなかったという。検証機の貸し出しも行ってはいるが、どうしても期間・数ともに限られる。
このハードルを取り除こうというのが、マクニカ ネットワークOS リモート検証サービスを企画した発端だ。「気軽に触れる環境があるなら、『ぜひ触ってみたい』と。そんな要望を多くいただいたので開設に踏み切った」(木川氏)。
では、リモート検証サービスでは何ができるのか。
前ページの図表1・2の通り、オープンソースも含めて様々なハードウェア/ソフトウェアを実際に触って試すことができる。技術統括部技術第1部第1課 課長の伊藤友彦氏によれば、「すべて当社で販売実績のあるもの」だ。そのため「お客様の要望や目的に合わせて、どういう構成が可能かを踏まえたアドバイスもできる」という。
ホワイトボックススイッチ用のネットワークOSと一口にいっても、データセンターに適したOSからキャリア向けの機能が充実したものまで様々ある。ハードウェアも含めて特性を加味したアドバイスが受けられるのも、特に入門者にとって嬉しいポイントだ。
このリモート検証サービスの設備は神奈川県横浜市のマクニカ本社にあるが、現地に赴くだけでなくネットワーク越しでも利用できる(図表3)。VPN経由でアクセスし、遠隔からホワイトボックススイッチ/ネットワークOSに触れて、かつ測定器も使えるので、首都圏のみならず全国のユーザーが利用可能だ。「新型コロナ感染対策でテレワークしている人でも、VPN環境さえ整えば自宅にいながらテストができる」(伊藤氏)。
図表3 リモート検証のイメージ
サードパーティ製光トランシーバーを試したいというユーザーにとっても使い勝手はよい。「ポート構成をお伝えいただければ、モジュールを実際に挿してパケットを流して動作を確認していただける」と木川氏。リモートからインターオペラビリティのテストも可能だ。
初心者から上級者まで納得!
具体的にどのような検証ができるのか。本サービスでは、マクニカの専門スタッフの助言を受けながらユーザーのレベルに応じた様々な検証が可能だ。例として、木川氏は次の3つを挙げる。
図表4 初心者向けの検証例:スイッチの単体試験
“ホワイトボックススイッチとOSをまず触ってみたい”という初心者は、スイッチの単体試験(図表4)から始めよう。測定器を使って、スイッチング容量試験など基本的なテストができる。
図表5 初心者~中級者向けの検証例:SNMP/Syslogを使ったテレメトリー動作確認
中級者なら、例えばSNMP/Syslogを使ったテレメトリー動作も確認できる(図表5)。また、図表6のようにLeaf-Spine構成のBGPクロスファブリックのネットワークを組んで動作確認することも可能だ。
図表6 中級~上級者向けの検証例:Leaf-Spine構成のBGPクロスファブリック
さらに上級者なら、この構成で複数ベンダーのスイッチ、ネットワークOSを組み合わせてみることもできる。「最近注目されているecSONiCとIP InfusionのOCNOSを使ってみたい、ecSONiCとCumulus Linuxを組み合わせるとどうなるか、といったお客様も多いと思う。いろいろな組み合わせを試したい上級者の方にも満足していただけるはず」だ。